吉川美貴(きっかわみき)さんの式辞




かっこちゃんのメルマガ第1223号、
今日の「宮ぷー心の架橋プロジェクト」は心温まる、うれしいお話しでした。                    


(前略)
新潟県に江南高等特別支援学校川岸分校という学校があります。
その学校が開校され、記念式典で新潟県教育委員会の吉川美貴(きっかわみき)さんがお話された式辞について教えていただいて、
すごくうれしい気持ちでいるのです。
1000人集会で最初に挨拶をされた総社市の市長さんも、障がいをもっておられる方の1000人雇用を実現したいと思って取り組んでおられる方で、
そのお話をしてくださっていましたが、
この川岸分校でも、職業につくことを目標に地域の方と交流もされながら、毎日勉強されているそうなのです。


吉川さんは式辞の中で、私のお話に長く触れてくださっているのですが、
“そこ”を載せさせていただきたいです。


・・・・・・
ところで、ここからは誠に私事で恐縮ですが、私が特別支援教育で目を見開かされた話を少しさせていただきたいと存じます。
それは石川県の特別支援学校の先生、山元加津子先生のお話です。
山元先生はこのようにおっしゃっていました。


「特別支援学校には、不思議なちからを持っている生徒達がたくさんいる。         楽譜は読めないけれど、初めて聞いた曲をすらすら弾ける子、
初めて聞く外国語の意味が分かったりする子、
地上にいながらまるで上空から見た航空写真のような正確な絵が描ける子。
それに何より、
そばにいるだけで人を優しく幸せな気持ちにさせてくれる子。
本当に様々なすばらしい子たちがたくさんいるのです」と。


さらに山元先生は、もう一つこんな話もしてくださいました。
自閉症の子どもたちはよく体を揺らすのだが、揺れ続けるだけでなく、
飛び続けたり、回り続けたりもする。
あるとき自分は、この姿は地球上のあちこちで人々が祈っている時との姿と
そっくりだということに気がついた。


たとえば、ある男の子がくり返し高くジャンプをするのは、
マサイ族の人たちがジャンプしながら祈る様子とそっくりだし、
またある女の子が、ハンカチをくるくる回し続けるのは、
ネパールやチベットの人たちがマニグルマを回しながら、祈る姿と似ている。
そして別の女の子は、くり返し指を折りながら、何かを唱えるようにして数えるのだが、これも日本やイスラエルの数珠や十字架の珠を数えながら祈る姿に似ている」と。


通常、子どもたちが揺れたり、物を回したりなどのくり返す動作は、
常同行動と呼ばれ、時に、この行動はあまりよくは思われないことが多いのですが、自閉症の子どもたちが揺れているときには、
原始脳が活発になることも分かってきており、
山元さんは、大好きな子どもたちのこのくり返す行動は、
祈りの姿であり、宇宙とつながる動きであり、
さらにはもっと深い意味があるのではないかと結んでおられました。


私はこれら2つのお話を伺ったときに、
いかに自分が特別支援学校に通う児童生徒さんに対する理解が不足していたかを自覚したと同時に、
特別支援の生徒さんたちがもっている能力や可能性を知り、
大変に感動したことを今も鮮やかに覚えております。


毎年、県教育委員会から学校視察で各地の特別支援学校に伺いますが、
そのいずれの学校でも、生徒さんたちが驚くほど見事な木工品を作っていたり、丁寧で細やかな手仕事を根気よくしているのを拝見して参りました。
ここでご紹介したのは、特別支援の子どもたちのすばらしさのほんの一例に過ぎませんが、私はいつも私たち大人が忙しさにかまけて忘れている何かが、特別支援学校にはあると感じてきました。


教職の方がたには、引き続き生徒一人一人の秘めたる可能性を引き出し、
育んで頂きますようお願い申し上げたいと存じます。
近頃は良く「共生社会」という言葉が使われます。
障がいや病気を持つ人を含んで成り立つ世の中、
生きていることの尊さを教えてくれ、
周囲への驚くほどの透明な観察力で、私たち大人の目を開かせてくれる、
この子どもたちから教えられることを広く発信しつつ、
ますます互いに学び合い、
共に生きる社会を創造していきたいものと思います。
・・・・・・


吉川さんの式辞は、たくさんの方から大きな拍手があり、
学校の先生や、保護者のみなさんや県議や市議のみなさんなど出席者のみなさんが、「新たな目を得た」「感動した」と口々に言われていたともうかがいました。


私はそのお話を伺って本当に本当にうれしかったのです。
そしてそれとは別に、
わたしは、「きっかわ みき」さんという方の絵本を二冊持っています。
そのきっかわ みきさんと吉川美貴さんは、実は同じ方だったのです。
その絵本は「金色の耳」(パウロ社)と「鹿の祈り」(東京図書出版)の二冊です。


鹿の祈りという本は、ある一匹の鹿のお話なのですが、
その鹿は何度も生まれ替わるのです。
そしてそのたびに、環境が変わるのですが、
生まれ替わるたびにいろいろな祈りを捧げます。
その祈りの言葉がどんどん変化していくのです。


最初は今の自分に足りないことへの不足や不満などがなくなるようにという祈り、
それがだんだん、誰かのための祈りになり、
全体の幸いへの祈りになっていくというふうに変わって行きました。


祈りとは何かを、
私はこの本当に美しい絵本で教えていただいている気がしていたのです。
そして吉川さんは、ご主人の吉川真嗣さんと一緒に
町おこしにも力を注いでおられることも知りました。
ああうれしい、ああうれしいと私はすごく思います。


いろいろな方が、
「新しい時代がはじまるんだよ。
本当に大切なことが何か、その大切なところへ向かう時代がくるんだよ」
と教えてくださいました。
総社市の市長さんや、きっかわさんや、
そしてメルマガを読んでくださっているみなさんが新しい世界をひっぱってくださっているような気持ちがしています。
                               かつこ