「しあわせ」の基準


かっこちゃんの白雪姫プロジェクトとリンクしている
西嶋さんのブログ「夢の雫」がとても感動的なので紹介したいと思います。
西嶋さんのコメントによると、
   2010年2月に妻が脳幹出血で倒れる。
   2013年3月に白雪姫プロジェクトと出会い、
   積極的なリハビリアプローチを始めるため、
   その回復への道のりを記録しようと日記を始める。


「しあわせ」の基準   5月2日 

 
考えてみたことがありますか?
3年間誰とも会話せず、自分の中だけで考え続けてきたことがあるのですが、
それは一生誰にも伝えることが出来ないと思っていました。
ところが2013年5月1日18時、
一生不可能だとあきらめていたその言葉を引き出す人が目の前に表れたのです。


「はじめまして、柴田といいます」とニコニコしながら話をはじめて、
あいうえおのPCパネルを見せながら、機能の説明をします。
すごい興味があったのでしょう。
妻の目は横目になりながらも、PCのディスプレイ画面をしっかりと捉えています。
脳幹出血の患者は、目の上下は出来ますが、横には普通動きません。
あんな目を見たのは初めてでした。
これは凄いことの起こる前兆かもしれないと思いました。


なんだか凄い事を起こすような人には思えない、とても温厚な柴田先生は、
妻の昔からの友達が久しぶりに遊びに来たとでもいうような感じで、
普通、妻のような障害者と会うのは、気を遣うものでしょうが全く緊張感がないというか(笑)そんな、スムーズな二人の出会いでした。
僕は、妻の昔の友人が遊びにきたところに立ち会ってこんな現場を目撃しちゃったという、そんな気持ちになりました。
この不思議な光景を見ながら、夢見心地で文章を書きはじめてみました。
目の前に展開された事実が凄すぎて、自分の感情を加えると、意味不明の文章になるので、ここは単純に目撃したことをなるべくフラットに伝えるように、書いてみようと思います。


写真のコメントから、すべては始まりました。
柴田先生は、妻の右手をにぎりながら、PCにつながるスイッチを操作していきます。妻の微妙な筋肉の動きを察知し、あかさたなスキャンで、一文字づつ言葉を綴り始めました。
ひらがながどんどん一文字づつ打たれていきます。
一文字づつの音が言葉になり、ぼくの涙へと変換されていきました。


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信じられませんが本当なのですね。残念ながら一人では何も出来なくなったけど、すべて理解できていたので、これで伝えられましたね。
小さい住まいですが、ここが今の私の「平和」な住まいです。
ここには最高の「しあわせ」があります。
私はとてもしあわせ者です。
何ももう望むものはありませんが、なんとかして感謝の気持ちを伝えたかったので嬉しいです。
小さい「しあわせ」かもしれませんが、世界中の誰よりもしあわせです。
塵も積もれば山となると言いますが、
人間の「しあわせ」って、そういう毎日の繰り返しなのだと言う事を、つくづく実感しています。
そう悪い生活ではありませんよ。
なに不自由なく、そんなに気持ちも沈みませんよ。
あなたの方が心配でしたよ。私よりも。
でもこれでほっとしたわ。
なかなか言えなかった事だったから、言えてだいぶ楽になりました。
守本さんもありがとうございます。
わざわざ筆談の練習に来て下さって。
できそうな気がしていますから、少しやりませんか?
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一文字づつ打たれていくひらがなを読みながら、
中盤からは全員(僕、優さん夫妻、柴田先生)4人とも涙をボロボロ流しながら、先生は涙をふきふき、スイッチを押して行きました。
僕はこんなに美しい文字をみたことがありません。
そしてこんなに美しい心の持ち主と結婚出来たことを心から感謝しました。
今読み直しても、もうボロボロです。


この後、筆談へ移ります。
これは、写真にとって来ていないので、うろ覚えですが、、、、
「先生みたいにやさしい人って、世の中にいるんですね」
「不思議です」・・・これは、文字がかける事が不思議という意味なのかな?
筆談といっても、これはかなり経験をつまなければなりませんが、
人間は文字を書く動物ですから、
書こうと思った時に、筋肉が反応して、それを先生が感じて、文字にしていくのですが、これは、練習すれば、<誰にでも>出来る可能性があるようです。
他にも、たくさん、書きましたが、あと覚えているのは「奇跡」という言葉です。
この「奇跡」は、妻にとっての「奇跡」です。自分の「言葉」を外に伝えてくれる人がいきなり表れたこと、つまり柴田先生との出会いが妻にとっての「奇跡」だったのだろうと思います。
※筆談文字はすべてひらがなです。


このあと、柴田先生が特別なやり方で、妻の言葉を読み取り始めた。
妻は柴田先生のやり方がなぜそんなにスムーズに自分の中の言葉が読めるのか?を不思議に思い、質問しはじめました。


妻:「何故、わかるのですか?」
先生:「これは、最初は一文字一文字、あかさたなスキャンで読み取っていったのが、長い時間を使って進化して行って、このスピードまで来ちゃったのだけど、これはその積み重ねで出来るようになったので、説明することが難しいですね」
妻:「先生のこのやり方はまるでテレパシーみたいだから、あまりやらない方がいいかもしれない」
一同爆笑
先生:「そうですね、僕もそう思う事がよくあります」
そんなやりとりの中、僕はどうしても、息子たちへのメッセージが欲しくなった。
僕:「清美、息子たちへ伝えたいことあるでしょう?まず基輝に言って。」
妻:「もとき(長男)に一番言いたい事は、良くみんなの言う事を聞いて、みんなから色々教わりなさいということですが、もう子供ではないから、色々親が言うのは良くないかもしれないけれど、私の気持ちは昔から同じですから、
また言っていると思うかもしれないけど、やはりそれがずっと気になっているので、よろしくお願いします。以上です。」
僕:「了解、で、悠生には?」
妻:「ゆうきには、笑い話になるかもしれないけれど、
あなたのとても良いところは、あなたしか分かっていないと言うことなので、
あなたが一番自分が素敵だと思う所をのばすのが一番と私は思っていますが、
私にもよくわからないけど、あなたは何となく、それが分かっているような気がするので、ぜひ自分の信じた道を行くのが一番だと思うので、どうぞ頑張って下さい。私にはそれが何なのか良く分からないけれど、どうもあなたには分かっているような気がするから、ぜひ頑張って下さいね。以上です。」
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