つんくよ桜よありがとう

シジュウカラ

第2076号「宮ぷーこころの架橋ぷろじぇくと」(2015年4月12日)にのっていた
西嶋さんの夢の雫からです。

つんくよ桜よありがとう』

昨日は寒かったなあ。
今年のお出かけデビューは延期となった。
しかし、せっかく多 忙な孫のスケジュールをキープしていたので、孫と長男夫婦とおばあちゃんも来てもらった。
外には寒くて出れなかったけど、
いつもの2階から桜はまだ僕らを楽しませてくれた。
みんな、この時期にここで会うのは初めてだったようで、
こんな角度で、こんな間近に桜を観れるなんて、ここが一番いいんじゃない?
などと、とても喜んでくれた。
妻は、外には行けなかったけど、2時間半程度たっぷりと、おばあちゃん同士、久しぶりに会って、孫からもいい子いい子してもらって、
息子や嫁の顔をまじまじと見つめて、とても楽しそうにしていた。

どこまでもKYな僕も、さすがに昨日は、妻の笑顔がわかった。
それくらい、楽しそうにしていた。

そして、今日は今度は暑い(笑)まったく、どうなってんだか・・・といいながら、 今日も最後の花見だぜとお外に出た。
もうかなり散ってしまった桜に、今年もありがとうと感謝をして、
来年またねと声をかけた。
来年はもっと、楽しい花見にしたい。

桜は、どれだけの人々を喜ばせるのだろう・・・と考えていたら、
妻が咳き込んで、病院の中にもどりたいという。
たぶん、そんな雰囲気なので、
もどるの?と聞いてみると、<う>っていう。

そうか、花粉か風か?よくわからないけど、
妻の命令には従わざるを得ない。
サラリーマンは卒業したが、妻からの指令には逆らえない。
元気な頃は逆らってばかりいたのに、不思議なものだ。

病院に入り、入り口の待合室フロアーのテレビで、
つんくの話題をワイドショーがやっていた。
そこで、ちょっとテレビを見た。
また咳き込んだから、病棟にもどり吸引をしようとおもって、
「もどる?吸引したほうがいいんじゃない?」・・・と、聞いてみると、
首を横にふった。

そこで、背中をたてて、トントンとして、、、
「んじゃ、自分で出せるんだから、タイミングだよ、ちゃんと息すってから、
タイミング、タイミン グ・・・」と声をかけながら、背中を叩いていたら、
自力でカニューレから痰を出すことができた。
すっきりして、しばらくワイドショーを見ていた。

僕はシャ乱Qの売れない時期から、
最初のミリオンヒットまでのレコーディングディレクターを担当していた。
シングルベッドがヒットしたのは、もう20年以上前のことだろう。

つんくのことは、妻にだけは話をしていたから、
きっとワイドショーを見ていたんだろう。
ぼくが担当していた当時は、まだインターネットはまだみんなが使うという状態では なかった。だから、詞のやりとりなどはファックスだった。

だから、ぼくの自宅に、みんなから詞のファックスが届いていたりという日々だったから、当然、妻もそれを目にしている。
携帯電話もまだもっていなかったから、家の電話で打ち合わせをしたりしたから、当時のことは、はたから見ていても、
なんとなく流れがわかったんじゃないかな。

そんな彼が声帯を切除した。
きっとつんくの困難と、自分の困難を、
かさねあわせたりしているのではないかと感じた。
それくらいテレビはものすごい。
真剣に見ていた。

テレビはロビーの上につるされている形で設置されている。
ぼくは、妻の目がこんな に意識的に、ここまで上を向けるのかと驚きながら、車椅子の背もたれをすこし倒して、テレビを見やすいようにセットしなおした。
今はこうやって、自分ができることが増えているから、
誰がみても、音を理解している、
意識があって、言葉を理解していて、わかっている人なんだ・・・
と思ってもらえる。
しかし、それは最初からそうだったんだろうな。
ぼくは、そう思っていたし、今でもそう思っている。

つんくは大丈夫だよ。
もちろん落ち込んだだろうし、とてつもなく大変な選択だっただろう。
でも、もう決めて、実行して、その上で人前に立ち、
人生としての後輩たちの前に姿を現して、
後輩へメッセージを、エールを届けている。
今の現実をちゃんと利用して演出している。
そうだよな、つんくだもんな、そうじゃなくっちゃな。

常に前に向かうってのが、ぼくら人間のあり方なんだろう。
何が起こっても、生きて行くってのは、そういうもんだろうと思う。
妻もきっと、そんな風に感じているん じゃないかなって思った。
つんくの話題は終わり、じゃぁ、そろそろもどろうか?
って聞いても、首を横にふる。
あらそう、まだいるの?って聞くと、聞き終わる前に
<う>・・・あぁ、これは反射だな。
こんなにスムーズに出来るはずがない。
こいつ こんなにワイドショー好きだったのかな?
でも、刺激をうけたんだろう。
いいこと だ・・・と思ったら、
つづきはあの浪速の政治家さんの話だ・・・、
これ見なくてい いと思うよ・・・と話したけど妻はまだここにいるという。

で、紳助さんの話が あって、米倉さんの話があって・・・
はい、タイムリミット、
今日は夕方から リハビリなんです。
言語リハビリ、がんばるぞー、がんがってねー!
・・・ということで、ワイドショーを終えて、リハビリとなった。

これがまたリハビリがよかった。
やっぱり、いろいろな形で人は刺激をうける。
今日のリハビリ効果の一番は、つんくの生き方だろう。

確実に妻は刺激をうけて、それで がんばったのだろう。
彼は自分が知らないところで、こうやって勇気を振りまくわけだ。
つんくに「頑張れ」はいらないだろう、
どうせ頑張るに決まっている。

妻にまで
勇気をありがとう!
・・・・・・

私もつんくさんのテレビを観ました。
そして、つんくさんの前を向いてにっこりほほえんで頷いておられた様子に、
やはり大きな勇気をいただきました。

つんくさん、ありがとうございます。
そして、西嶋さんと奥様の毎日にもやっぱり私は大きな勇気をいただきます。

かつこ