学校の作文で
朝の連続ドラマ「ゲゲゲの女房」。
藍子は小学四年生になり、父親が漫画家であるために学校でクラスメートたちの好奇の目にさらされてしまう。
しかし藍子はその悩みを布美枝にも話せません。
昨日に続き、今日も長女の藍子のことが話題でした。
布美枝の弟 「街を歩いとったら、子供たちゲゲゲの鬼太郎の歌、
歌っとったぞ。
その時藍子、おれの後ろに隠れたぞ」
布美枝 「藍子は、水木しげるの子といわれるのが嫌なんだわ」
「あの子学校の作文で、
家族で高尾山へ行ったこと書いたのよ」
「あれは、自分の夢を書いとったんだわ」
布美枝の困惑ぶりに、
「ハハハ、郁代もそっくり同じだったわ」と声をかけたくなりました。
郁代も、行ったことがないのに、
夏休みに海や山へ母と行ったと作文に書いてあったからです。
思い出したら、なぜかちょっこし涙が出てきました。
以下は 「あなたにあえてよかった」より抜粋したものです。
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八歳(三年)の夏休み、八月一日におばあちゃんが入院。
脳梗塞で全身不随だった。
昼はわたしの実家の母が介護し、
夜は仕事を終えて駆けつけるわたしと交替した。
今日も一日、子どもの顔を見なかったなあと思う日が何日も続いた。
そのころ、いくちゃんに家族との夏休みはなく、いつも私の妹が助けてくれ、海や山、食事へと連れて行ってくれていた。
「いくちゃん、あまり楽しそうでなかったよ。おかあさんがいないから、つまらなそうだったよ」
妹が言うことはいつも同じだった。
それから半年も経てから、ふと目にした夏休みの日記帳.
それを読んだ私は、ひっくり返りそうになった。
日記帳でのいくちゃんは、行った覚えのないお母さんと一緒に海や山へ行き、楽しく過ごしたことになっていたからである。
八月三日 お母さんやおにいちゃんと海へいきました。
アイスクリームを買ってもらいました。
みんなでおべんとうをたべたら、とってもおいしかったです。
八月十七日 お母さん、お父さん、お兄ちゃん、おねえちゃんと山へ キャンプにいきました。
川の水はつめたくて、スイカをひやしてたべたら、おいしかったよ。
キャンプはとても楽しかったから、また行きたいです。
書かれていたのは、その年の夏休みの話ではなく、それまでに行ったことがある家族旅行のことだった。
「本当はお母さんと行きたかったの」という声が聞こえてきた。
「楽しいことが、いっぱいあったのですね」
赤で書かれた先生のコメントが胸に突き刺さった。
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