『祝婚歌』


最近お知り合いの方から、
結婚式の招待状、続けて頂きました。
息子さんがめでたく結婚されるのです。
心の中で「祝婚歌」を贈りたいと思いました。


「互いに非難することがあっても
非難できる資格が自分にあったかどうか
あとで
疑わしくなるほうがいい」
私にぴったりの言葉、心に沁みます。


祝婚歌』  吉野 弘

二人が睦まじくいるためには
愚かでいるほうがいい
立派すぎないほうがいい

立派すぎることは
長持ちしないことだと
気付いているほうがいい

完璧をめざなないほうがいい
完璧なんて不自然なことだと
うそぶいているほうがいい

二人のうちどちらかが
ふざけているほうがいい
ずっこけているほうがいい

互いに非難することがあっても
非難できる資格が自分にあったかどうか
あとで
疑わしくなるほうがいい

正しいことを言うときは
少しひかえめにするほうがいい

正しいことを言うときは
相手を傷つけやすいものだと
気付いているほうがいい

立派でありたいとか
正しくありたいとかいう
無理な緊張には
色目を使わず
ゆったりゆたかに
光を浴びているほうがいい

健康で風にふかれながら
生きているなつかしさに
ふと胸が熱くなる
そんな日があってもいい

そして
なぜ胸が熱くなるのか
黙っていても
二人にはわかるのであってほしい


☆ 吉野弘 「生命は」も忘れられません。