残してくれていたパン

兼六園一有名な“唐崎の松”の雪吊りが完成したばかりす。


かっこちゃんのメルマガ第1551号
宮ぷーこころの架橋ぷろじぇくと(2013年11月3日)から引用させていただきました。


お友だちから教えていただいたブログがあります。
そして、偶然にもブログを書いておられる方からもメールをいただきました。

やさしいまなざしというブログです。
ブログの説明には
「入院中の進行性核上性麻痺の夫と、多動で自閉の個性のある次男の日常を、
私vanillaが綴ります。」と書かれてあります。
2013年5月3日の北海道新聞生活面「いずみ」に下の文章が掲載されたそうです。

・・・・・・
 この日も仕事帰り、夕食の介助のために夫の入院する病院に寄りました。
スプーンだとかが入ったかごの中にバターロールが1個あるのを見つけ、
「食べ残したの?私が食べてもいい?」
と夫に断って食べ始めました。すると夫は
「残しておいたんだ」と小さな、か細い、でも私にはっきり聞こえる声で言いました。
え、私のために、と本当にびっくりしました。

 夫は、若年性の進行性核上性麻痺という病気で入院して、1年になります。
私は仕事と子育てをしながら、毎日、夫の病院に通っています。
年明けからだんだん調子を落とした夫は、食べられる量が少なくなりました。
食欲が出るかと思い、病院に頼んで今年になってから、入院前と同じ朝はパン食にしてもらいました。
うれしいことに先月ぐらいから調子を取り戻し、会話もいくらかできるようになり、食べられるようになってきた直後のことでした。
その数日前、やはりパンが1個ありました。
袋にマジックで「あとでたべる」と看護師さんの字で書いてあったのですが、
もうすぐ夕食が出るので、夫に断り私が食べました。
夫はきっとそれを見て、私はいつもおなかがすいていると考え、
朝食に2個出るパンのうちの1個を取っておいてくれたのでしょう。

 夫の気持ちがうれしくて、素直に「ありがとう」と口にしました。
涙が出そうになるのをこらえ、満面の笑みで。
・・・・・・

そのあと、ブログには毎日のようにパンの写真が載っていました。
毎日、ご主人がバニラさんのために、パンを残しておいてくださるのです。
私は、宮ぷーが思いを伝えられるようになったばかりのころを思い出しました。まだリハビリの先生がリハビリをしてくださっていたころ。
倒れて半年を過ぎたころだと思います。
宮ぷーを車いすに乗せて、先生は売店へお買い物に連れていってくださいました。
どれを買いますか?先生がたずねると、映画にも出て来たようにチョコレー
トを選んだりもしたけれど、
その他に、宮ぷーは自分が食べられないのに、いつもパンを買いました。
それからときどきはおむすびを買いました。
食べられないのにどうしてでしょうね?と先生は思われたそうです。
私が行くと、宮ぷーは必ず
「ぱんがあるよ」「ぱんたべてね」
とレッツチャットに書いてくれてありました。
私は涙がぼろぼろこぼれました。
ほんの少し前まで、思いを伝えられなくて、
深い思いがあるとわかっていても、でも、どんな反応も返ってこなかった宮ぷーが、
お買い物をして、私のためにパンを買っておいてくれる。
それはどんな幸せにも代え難いものでした。

 そのうれしさをこのブログは思い出させてくださいました。
「やさしいまなざし」のブログは白雪姫プロジェクトをリンクしてくださっていて、いろいろな記事も書いてくださっています。
                       かつこ