“火って不思議やな”

この季節、“火って不思議やな”をよく思い出します。
情景が浮かんできて、とっても好きな詩です。

山元加津子さんのHP「たんぽぽの仲間たち」にある、
「大ちゃんの詩」からです。


 お天気の中で
 花びらの雪がおりる
 こんな日は 雪も
 楽しいことを
 考えとるやろ



お日様が出ていて青空なのに、空からは静かに大きな雪が降ってくる・・・・。
そんな不思議な天気の中で、楽しくお話しをしながら私と大ちゃんが歩いていると、
遠くにたき火が見えました。
近づいて「あたらせてください」と火の番をしておられたおじいさんにお願いすると、
おじいさんは
「あたっていくこっちゃ。火はありがたいもんやぞ」
と言われました。

おじいさんは、「弟さんか?」と尋ねられました。
「そうじゃないんです」・・・「兄さんか?」
大ちゃんは背も大きいのでそんなふうにも見えたのでしょうか?
「そうじゃなくて、お友達なの」
おじいさんは「そうか、そうか」と言って
また火にあたらしい木を入れられました。

しばらくするとおじいさんは、
ポケットから紙につつんだ焼いたかきもちを出して、私たちにくださいました。とってもおいしいかきもちでした。
大ちゃんはそのあいだ、一言もおしゃべりはしなかったけれど、
「ありがとう」と言って歩き出してから、こんな詩をつくりました。


 火って不思議やな。
 となりの木に分けてやっても
  火は少なくならんもん
  火は心の中の
  やさしい気持ちと
  おんなじなんやな

大ちゃんは火を見ながら、おじいさんのやさしい気持ちや、
かきもちのことをこんなふうに考えていたんです。


僕が生まれたのには理由がある

葉っぱだって石ころだって

さびしいときは心のかぜです