いのちを刻む五木玲子展

金沢21世紀美術館を通リ抜けて、中心街の香林坊へ出ることがよくあるのですが、
昨日は
    いのちを刻む五木玲子展〜五木寛之などの装画本の原画と共に〜
を観ました。

テーマとなっている〈生きることの悲しさ〉が強く伝わって来ました。
郁ちゃん、あなたにあえました。



〈概要〉
53才で描くということに天職を見つけた女性画家が生まれ故郷の金沢で開く、
初期から近作までの120点で20年余の活動を展観します。
また、装画も数多く手がけており、
五木寛之などの装画本60点余の原画と共に展示します。
チャコールペンシル、鉛筆、パステル、岩彩などで描かれたドローイング作品やリトグラフ、木版、銅版、石版で制作された版画群など、
60年の絆という五木寛之氏が驚くほどの集中力で描かれた1988年〜2012年までの作品で作家のこころの内をたどっていきます。

なかでも花を多く描いていますが、
ひからび縮れた花弁や葉など枯れた姿を靱い線で描いており、
生のぎりぎりの息吹が伝わってきます。
いのちを見つめる静謐な世界が観る人の心に迫ってきます。

五木玲子略歴
1934年 金沢生まれ。早稲田大学文学部及び東邦大学医学部卒。
1965年 早稲田大学で知り合った五木寛之氏と入籍、金沢で住む。
      金沢大学付属病院 精神神経科に入局。
1969年 横浜に転居。寛之氏の秘書的な役割をこなす。
1981年 (未来工房)の豆本「風に吹かれて」の装幀を担当。
1982年「ゴキブリの歌」85年「地図のない旅」とエッセイ三部作の装幀を担当。
1984年 (日刊ゲンダイ)連載の五木寛之「流されゆく日々」のカット192回分担当。    

以後「大河の一滴」、英文版「TARIKI」、復刻版「風に吹かれて」、
「運命の足音」等 、 五木寛之の著書を中心に50冊の装画を担当。

1995年 作家生活30周年記念「五木寛之の世界展」(久留米岩田屋)の企画、
     構成を担当。
1996年 61才、初個展「SOUL & BODY」展 (東京、PIGA原宿画廊)
                             (以下略)

五木玲子さんの実家が運営する病院が近所にあって、
実家も私と同じ町内にあるので、五木寛之さん共々とても親しみを感じます。

五木玲子さんについて書いたことがあります。
枯れたひまわりから

近くの畑で

以前(2006年)作家五木寛之さんの妻五木玲子さんが、
生まれ故郷金沢で初めての個展を開かれました。
原画展では、装画本約30冊と、その原画が展示されていました。
このひまわりとそっくりな装画本があったなあと思ったのでした。

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 「五木玲子の作品を目の前において、私はしばしば圧倒されるような感覚を覚える。
それは彼女が世界中でたったひとり、自分しか描けない線を表現する、ただそのことに全生命を賭けていると確かに感じるからだ」

「作業に集中しているあいだじゅう、彼女はこの世の人ではない。
飲むことも食べることも忘れたかのように昼夜をわかたず作品とむかいあい、
格闘している」
         (『花の見た夢』巻末の五木寛之さんのエッセイから)
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