「本当に?本当に母が書いてるんですか??」

アブチロンチロリアンランプ  ご近所で

かっこちゃんのメルマガ第1786号
「宮ぷーこころの架橋ぷろじぇくと」(2014年6月26日)からの抜粋です。 

体当たりの お優さんのブログからです。

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お母さん、良かったね〜
6月21日(土)
今日は私の住む街から車なら30分強で行ける病院で、
1年3ヶ月前に意識障害になられた方にお会いしてきました。
この方のお嬢さんがお一人で介護をされておられて、
つい最近かっこちゃんのことを知って、かっこちゃんに問合わせのメールをしてくださったのがご縁でした。

かっこちゃんから「優さん、お願い」とメールが来て、
早速お返事を差し上げたのですが、なかなか日にちの調整ができず、
やっとやっとの今日でした。

「白雪姫プロジェクト」を教えてくれたのは会社の同僚の方だったそうです。

その方はご家族に当事者がおられるわけではないのですが、
映画をご覧になって白雪姫のことを知り、
更には私の本まで買って下さっていたそうで、
その方から教えてもらって一周年のイベントにお嬢さんがおいでになって 、
「僕の後ろに道はできる」を観られたのだそうです。
その日のうちにかっこちゃんと話もできて、
そしてこうして繋がることが出来たというわけです。

このプロジェクトはどこでどう繋がるかわからない。
最近、そういうことが良くあります。
情報を拡散し続けなくては!と強く感じています。

私自身がそうだったのでよく分かるのですが、
意識障害の患者さんを持つ家族は多くの絶望をたたきつけられています。
希望の言葉を聞くことが本当に少ないのです。
誰が悪いとかそういうことではなくて、多くの「治らない事例」が目の前に立ちふさがっているから、医学の常識も大きく変わることは出来ない。

医者様も医療に従事する方々もみんな、大きなジレンマの中で患者さんに告げなければならないのは、
良くなった事例ではなく、最悪の場合の想定。
これは仕方のない事なのです。

良平を担当してくださった医療従事者の方々は皆心ある方々でした。
通りすがりの救急外来でひどい目にあったこともあるけれど、
それでもそこにおられた看護師さん方に救われました。

医療に従事する方々も本当は「治りますよ」「きっと回復しますよ」と、
どんなに言いたいことでしょう。
でもあまりにも回復例が少なすぎるのでしょうね。
たった一言でいい
「回復する可能性のある方法がある」、
そう聞くことで家族の心は大きく救われます。
たった一言でいい
「この方は全てわかっておられます」
そう聞くことで明日への希望が大きく膨らむ。

良平を全力で介護していたあの頃、今よりももっと情報は少なく、もちろん白雪姫もなく、絶望的な言葉が飛び交う時代でした。
だからこそ本当に、この情報を知るだけ
でも生きる希望が持てることを私はわかるのです。

たった10年、されど10年。
今は白雪姫プロジェクトがある。
この情報を元にして家族や当事者の方々がもう一歩先に進む勇気と希望が持てる。
そう思うから、やっぱり広めなくちゃ!って思います。

いつものように自己紹介から初めてご挨拶。
お母様は最初は目を閉じておられましたがうっすらと開眼され、
そこから次第にはっきりと私の目を見てくださるようになりました。
夫も一緒に行ったのでご挨拶。
私が「お嬢さんに頼まれて今日は来たんですよ」と言うと、
今度はお嬢さんの方をくるっとご覧になったのです。

身体の拘縮部分のお話を聞いて少しだけマッサージなどをしてほぐしたり、
リハビリの話をしてから、今度は指談に挑戦。
◯と×はすぐにおできになりました。
ただ、指の拘縮の力が強いので指談よりも、筆談のほうがいいかもしれないと感じました。
それから今度は車椅子に移乗して談話室へ。

お嬢さんが「僕の後ろに道はできる」の本についていたDVDで練習した、
移乗方法はしっかり出来ていて素晴らしかった!

談話室で今度は筆談トライです。
「いつもむすめに かなしいおもいをさせてかわいそう」
とお書きになりました。
お嬢さんはひたすら驚いておられます。

「本当に?本当に母が書いてるんですか??」
信じられないのも無理はありません。
今日、筆談が出来るとも考えておられなかったそうです。

お嬢さんも途中から交代してやってもらいました。
◯×1,2,3そしてお嬢さんの名前、さらに「ありがとう」と。
ちゃんと読み取れて筆談できました。

それでもまだ「信じられない」としきりにおっしゃいます。
疑っているとかそういうことではなくて、
今起きていることが信じられないのだということでしょう。

「こんなことがあるのですか」「しごとは?」「おはかは?」
と気になっておられたことをお書きになります。
そのたびにお嬢さんがお答えになって、それを聞くととても安らいだ表情になられます。

お嬢さんがもう一度筆談トライすると、今度は「おとうさん」と書かれました。

この質問にも思い当たるお嬢さんがちゃんとお答えになっておられて。
嬢さんはもう涙の連続でしたが、泣いてしまうのは良いことなのです。
今までたったお一人でご両親それぞれを看ておられて、
どれほど心細くて苦しかったことでしょう。

ホンの少しだけでも「一人じゃない」って思ってもらえたら嬉しいです。
お暇する頃には表情がとてもスッキリされて、
思い切り筆談したのもあって眠そうになさっておられました。
一生懸命書くことはとても疲れるのでしょう。

お嬢さんは何度も何度も
「お母さん、良かったね〜」
と繰り返しておられました。

その後、3人で近くのファミレスでお茶しました。
何気ない日常すら忘れていたと言うお嬢さん。
これからは筆談を練習してもう一度お母さんと話ができるようになりたいと張り切ってくださいました。良かった〜〜〜〜〜〜
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優さんありがとうございます。ああ、本当によかった。
優さん本当にありがとう。

かつこ