『くにこ』

昨夜の金沢市民劇場例会は文学座公演 『くにこ』でした。

アップテンポで楽しいお芝居に引き込まれました。良かったです。
不貞をしているくにこが、
父親の不貞を止めて家族の幸せに力を注ぐ姿が感動的でした。
繰り返されたセリフ、「人間には裏と表があるという事」。

鋭い人間観察と切れ味のいい文章で、
今でも多くの読者から熱い支持を集めている向田邦子
人気絶頂期に事故で亡くなるという衝撃もあって、
よりいっそう日本人の心に残る作家となっている。

モチーフになるのは、
彼女が作家になるまでの軌跡を辿る評伝的な要素と、
遺した数々の作品からエッセンスを抽出したオマージュ的な要素を含んだ作品です。
サクセスストーリーではなく、おかしくて哀しい、
立派じゃないけど憎めない人間のあれこれを、
「くにこ」の視線を通じて描き出しています。

<あらすじ>
昭和4年11月28日、
東京の世田谷町若林町に一人の女の子が生まれました。
そのこの名前は"くにこ"
やがて、その女の子は物語の母になるのでした。

この物語は、一人の女の子が、物語の母になるまでを描くものです。
彼女が見つめていたものが、
彼女に染み込み、
いつの間にか彼女自身となり、
言葉や物語としてあふれ出していく……。

おかしくてやがて哀しい、
物語の母の物語。