「85年の生涯でこんなに驚いたことはなかった」と

満作 兼六園

    筆談で書き取ってきた4桁の数
    半信半疑で打ち込むと・・・
    なんとログインできたそうなのです!

かっこちゃんのメルマガ 第2012号
「宮ぷーこころの架橋ぷろじぇくと」(2015年2月7日)は、
体当たりのお優さんのブログからでした。    
抜粋です。

命の言葉
1月31日(土)
今日はY子さんのご主人Hさんの告別式でした。

Y子さんはご主人が病に倒れてから
2年4ヶ月の日々を毎日欠かさず病院に通い、
必死の検索で『白雪姫プロジェクト』に出会い
リハビリをそれはそれは熱心に行っておられました。

私にも会いに来てくださって指談や筆談を覚え
一生懸命にHさんと会話できるよう
丁寧に丁寧にお二人で練習を重ねて来たのです。

Hさんのご両親はあまりに大きな衝撃を受け
ご子息の障害を受け入れることがおできにならず
Y子さんの必死の看病に感謝なさりながらも
回復を信じることも、思いがあり、意識は戻っていて
言葉も感情もそのままあるということも
信じることができずにおられました。

Y子さんが持ち帰って筆談を見せても
Y子さんが書かせてくれているのだろうと
そんな風に思っておられたそうです。

Y子さんは私に、
皆さんの前でHさんの筆談のことを話して欲しいといわれました。

「たんじょうび すきなものをかって」
こう書いて下さった日は、前日に
息子さんの誕生日の話をしておられて
「パパ、自分の口でおめでとうって言ってね」
とY子さんに言われていたということでした。
もちろん私は知る由もなかったことです。

たんじょうび、といきなり書かれたことに戸惑うと
そういう説明をしてくださったのです。

「いえはたてなおすのか?」
そう書いて下さった時は、数日前に
Y子さんが、「パパ、家に帰るからね」と、
在宅介護の決意を述べたのだそうです。
それを受けてのこの言葉だったのですね。

「せりか」と書かれた時にはいつも以上に
Y子さんは驚いておられました。
私には何のことやら???だったのですが、
Hさんは車の「セリカ」の愛好会のようなことを
お友達となさっておられたそうなのです。
車に詳しくない私には尚の事驚きでした。
車種の名前だと気付きもしなかったからです。

そんなお話をさせて頂くと皆さん涙ぐまれて
そしてまた驚いておられました。

私の話のあとにおもむろにHさんのお父様が
「私からも申し上げたいことがある」
と立ち上がられ
涙をこらえながらお話してくださいました。

「実は、私は筆談のようなことは信じられず、
ずっと半信半疑でした。
でもこういうことがあって」
と話されたことに私も大きな衝撃を受けました。

お父様のパソコンの設定は全部Hさんがしておられ、
新しいパソコンに買い替えた時に移行作業の中で
ログインパスワードがわからなくなったのだそうです。
思いつく限りの数字を打ち込んでも全くダメで
困っていたらY子さんが「パパに聞いてくる」と。

お父様は、何を言っているのかと思ったそうです。
絶対に何もわかっていないと思い込んでいたから。

ところが帰ってきたY子さんの手には
筆談で書き取ってきた4桁の数字。
そしてそれは誰も思いつかないような数字。
半信半疑で打ち込むと・・・

なんとログインできたそうなのです!

お父様は85年の生涯の中でこんなに驚いたことはなかったと。
そして筆談を信じ、すべてを信じられたのだそうです。

お父様はおっしゃいました
「もしも万が一、誰かがこういう病に倒れたら、
どうかY子に連絡して欲しい。
必ずや明るい希望をもたらしてくれるはずです。
こういう方々に繋げてくれるはずです」と!

Y子さんは私と手を繋いで
「良かった、良かった」と言いながら
ポロポロと泣いておられました。
お父様が理解して信じてくださって
そしてこうして白雪姫プロジェクトのことを
皆さんの前で言ってくださって
本当に良かったと思えたのでしょう。

Hさんの弟さんの奥様は看護師さん。
彼女は熱心に指談について話を聞いてくださって
大きな興味をいだいてくださって
「これ、私達看護師ができるようになったら
看護も介護も変わりますよね!」
と嬉しい事を仰って下さいました。
いつか勉強会をひらくことになるかもしれません。

ご高齢の方のみならず、私達がこの活動で
接する方々の中には、やはりギリギリのところで
命の戦いの中で今日を生きておられる方が
少なからずおられることを思うと
本当に、筆談や指談は「命の言葉」だと思います。

たくさんの言葉を聞き出せなくても
たった一言でもいいから真実の言葉を
真実の思いを読み取らせて頂けるように
いつもいつも必死に指談させていただきたいと思います。
そしてやっぱり一番大事なのは
ご家族や大切な方々ができるようになること。
私が読み取りに伺わなくても良くなるように
一生懸命お伝えしていこうと思います。