十億の人に十億の母あらむも

「十億の人に十億の母あらむも わが母にまさる母ありなむや」

暁烏 敏(あけがらすはや) 歌碑


“加賀の三羽烏”のおひとり、 暁烏敏師(1877年 - 1954年)は、
真宗大谷派の宗務総長をされ、「念仏総長」として慕われました。

師が生まれた明治時代、世界全体の人口は約10億人だったと言われています。
その10億の人、誰にでも母親がいます。
人間の数だけ母親がいた事は事実です。
世の中にこれだけの母親がおりながら、自分の母親よりも素晴らしく、
そして尊く有り難い存在は、どんなに探してもいないというのです。

わたしたちの目の前にあるものすべてが、仏の現れであり、
どれもがこの世にたった一つしかなく、他と比べる事など出来ないかけがえのない存在だといわれます。

ある人いわく、「あなたが、色々な事で自分自身と他人とを比べるというのは、
まるで自分の身長と相手の体重を比較するようなもので、全く単位が違い、
比べようがなく、意味がない事である」と。

それでもわたしたちは悲しいかな、
このかけがえのない自分を他人と引き比べ、安心しようとするのです。

そしてわざわざ相対の苦しみの世界にしているのですね。