郁ちゃんのところへいっちゃった

Hさん夫婦が福知山から私を訪ねてこられたのは、2年近く前のことでした。
「あなたにあえてよかった」を読んで、是非お会いしたくなったとおっしゃいました。
御主人ががんだとわかったのでと言われました。
残された時間に「思い出となるお別れの旅をしたい」と、金沢の地を選ばれたのです。
郁代が結んだご縁でした。

あなたにあえてよかった

あなたにあえてよかった


Hさん夫婦が2人だけで旅行をしたのは、これが初めてだったのです。
私たち夫婦と一緒に、ひがし茶屋街、菖蒲園などを散策したのでした。


今日早朝、奥さんから電話がかかってきました。
「郁ちゃんのところへいっちゃった・・・」

2日前に、「もう危ない」との電話があったばかりでした。

御主人はがんばって、がんばって、会社一筋の人生でした。

「もう、がんばらなくてもいいからね」
「辛かったろうね。もう、苦しまなくてもいいからね」

郁代に語りかけたと同じ言葉を私はつぶやいたのでした。
涙が出てしかたがありませんでした.



                    2005年6月  郁代撮影