一番すきなのはねぇ〜     

郁代がシドニーにいるときの何よりの慰めは、姪のSちゃんたちから届く
電話や手紙でした。

その頃Sちゃん(六歳)の好きな遊びの一つが、「誰が一番すき」さがし。
「一番すきなのはね〜」からはじまりました。

「一番があいちゃんで、二番がママで、三番が…」好きな人、花、虫、があまりにも多いため、好きな人や花や虫に順番なんてつけられなくて、いつまでたっても終わらなくて困っていたものです。

ある時、Sちゃんは「良いこと考えた!」といって、次のようにまとめました。


 一番すきなのは     
          Sちゃん  六歳  (2004年2月14日)


Sちゃんが一番好きなのはねぇ〜。

一番が、あいちゃんの家族で、
二番が、おばあちゃんの家族で、
三番が、りなちゃんの家族で
四番が、樋口のおばあちゃんの家族で、
五番が、保育園のお友だちみんなの家族で、
六番が、保育園の先生みんなの家族で、

その次が、お花や虫の家族で、
その次が、お空や月の家族で、
その次が、川や海の家族で、
その次が、世界の家族で、
その次が、地球の家族!  


私はSちゃんの〝つぶやき〟を、早速メールで郁代に送ったのでした。
メッセージには「郁ちゃん、遠く離れていても、あなたもわたしたちの家族だよ」と言う意味を込めたつもりだったのです。
郁代がいつ帰国しても、話題がすぐに繋がるように―。

Sちゃんたちや、小さい頃からの家族との写真、日本での友人との写真をピックアップしてミニアルバムに収めたものを、郁代はシドニーで手元においていました。
異郷の地で、時にはふるさとを偲びたいこともあったのでしょう。
ミニアルバムや手紙は持ち帰られ、今は私の手元にあります。