皆で気をつけます

エディさんは郁代がオーストラリアで勤めていた会社の上司に当たる方です。
ワーキングホリデーには、
滞在期間1年以内、就労はアルバイトに限るという制約があります。
エディさんは郁代をアルバイトで雇用、1年後には
正規採用してくださったのです。



私は、これまでのお見舞いに対するお礼に加え、
療養中の郁代をよろしくとの手紙を差し上げていて、
メールはそのお返事でした。
エディさんは、かつて長く日本に住んでいられ、日本語には全く困りません。


 先日は、大変ご丁寧なお手紙を頂きまして有難うございました。
恐縮しております。
この度のこと、ご本人にとっては勿論のことですが、
ご家族の方たちにとっても
大変ご心配の事だったと思います。
幸い全て上手くゆき、あとは毎日の生活に気をつけていれば大丈夫との事、こちらの社員一同、皆でほっとしています。
これからも、何かあれば我々で出来ることはさせて頂くつもりです。


郁代さんは仕事はよくやって頂いています。
私にとって、彼女が仕事のインタビューに来たのが、
ついこの間のような気がし、
つい、まだ経験が足りないような事を言ってしまい、
いつもそれで彼女に怒られます。


最近こちらの法律が変わり、我々客に接する社員は、
保険の新しい資格を取らなければならなくなりました。
そのための試験と提出書類を皆でやらなければいけなかったのですが、
その成績が、郁代さんは何百人いる社員の中で首席で通し、
私の鼻が大変高かった事がありました。

郁代さんが現在持っている社内での信頼や立場、
そして我々全員の彼女に対する気持ちは、
彼女自身が今まで培った結果です。
これからも大いに期待しています。


日本とオーストラリア、距離こそ離れていますが、
今は時間的、便宜的にも身近な国だと思います。
私も娘と息子を持っていますので、
いつも子供が心配な親の気持ち、分かるつもりです。
これからも皆で気をつけて、
何かあればご連絡させていただきたいと思います。    エディ                            
                        2004年 6月4日      


そういえばこのメールの二年程前に届いた郁代からの手紙は、
エディさんがおっしゃる試験のことだったのか…。
気がついたのは、郁代が亡くなってからのことでした。  

この時は、療養中の郁代のことで頭がいっぱいだったので、
「保険の新しい資格」云々については深く思い至らなかったのでした。

                      自分が選んだ道だから 2