2009-08-08 「そう〜れっ!」 あなたにあえて 介護ベッドを起こすと、 上体が少しずつ下にすべり降りていきます。 時々、体を引き上げるのですが、 一人でやるには、ちょっとしたコツがいります。 わたしが身体を持ち上げようとすると、 郁代が元気な声で、 「さあ、行くよ。そう〜れっ!」と掛け声をかけてくれました。 部屋の外で、声だけ聞いていたら、 母親が病人で、それを介護しているのは娘だと、 誰もが思ったことでしょう。 生きる場所が、どんなに狭くなっても、 自分がどんなにつらくても、 郁代はまわりの者を元気づけ、励まそうとしていました。