卒業おめでとう

郁ちゃんが最後に会ったとき、Sちゃんは小学二年生だったね。
今日はSちゃんの卒業式だよ。昨日までの雨もやんだよ。
Sちゃん 小学校卒業おめでとう。


大好きな“Sちゃんのつぶやき”を思いだします。



Sちゃんが三歳だったころの
コイにえさをやっていた時の父娘の会話。                           
 
    父    「よく食べるコイやなあ」
    Sちゃん 「コイさん  おいしい おいしいって いっとるよ。
          ありがとうって いっとるよ」


“自分とひとつにつながったいのち”
としてコイをみているSちゃんの感性に、ハッとしたのでした。



郁ちゃんの病状がひどく悪くなってきたとき、
オーストラリアの会社の上司エディさんから
お見舞いの大きな花籠が届きました。
そのときのSちゃん(二年生)のつぶやきも忘れることができません。


1本、2本、3本・・・・・
最後までずっとお花をかぞえてから、


     「ちょうど、100本あったよ。
      お花のしゅるいは13しゅるい。
      オーストラリアで100人の人が、
      いくちゃんの病気が治るよう、いのってくれているんだね。
      100人の人が、お花を一本ずつこの花かごに、
      挿(さ)していってくれたんだね」


本当に100本あったと思うのです。
「100人の人が、お花を一本ずつこの花かごに、
 挿(さ)していってくれたんだね」
Sちゃんのつぶやきは、
エディさんの慈愛に満ちた深い思いそのままだったんだね。


Sちゃんのやさしい感性は、郁ちゃんと似ているなあと思うよ。


気がつけばいつも本を読んでいたSちゃん、
新しい世界に向けて飛び立つんだね。
おめでとう。