かなしみに癒しの力

地元新聞に帯津良一さんのエッセーが載っていました。
水曜連載「老いを旅する」の1回目は、
“かなしみに癒しの力”で、その書き出しは


  人生70古来稀なり。


私が古希を迎えた翌日からの、
なんとタイムリーな企画ではありませんか。
古希を迎えてからの帯津さんは、
毎年テーマを決めて生きることにしたのだそうです。

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テーマの第一回が旅情。
  私たちは何もない世界、つまり虚空から来りて、
  また虚空に還る旅人だ。
  生きとし生ける者、みな旅情を抱いて生きている。
  互いに互いの旅情をうやまっていこうではないかという意味である。
2年目は「予感と直感」(以下略)。
3年目は「他力と自力の統合」(以下略)。


4年目の今年は「本願とかなしみと」。


  本願とは阿弥陀様の一切の衆生を救おうという願い。
  これが満ちているのが「浄土」だと、
  親鸞仏教センターの本多弘之さんは言う。
  写真家の藤原新也さんは、
  「人々の胸に秘めたるかなしみにこそ癒しの力がある」と語る。
  私は本願とかなしみが自然治癒力の正体のような気がしている。


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5年前の3月、亡くなる半年程前でしたが、
郁代は1ケ月ほど東京に滞在し、
帯津先生のクリニックへも通っていました。
先生にお会いするだけで元気を頂けたのではないかと思うのです。
その前の年には帯津先生の養生塾にも参加していて、
アンパンマンのような先生でだいすき!」と
友人へメールで知らせていました。
先生とのツーショット写真も残っています。
先生の命の物語をお聞きした、
この時の郁代のメモが手帳に残っていました。

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私のこの命は300億年という大きな循環の中の一日を生きている。
先の事を考えても仕方がないので、
今日一日を大切に生きることが大切だ。
人間は寂しく、悲しい、孤独な旅人だ。
私の命が地球へ降りて劣化したエネルギーを取り戻したら、
地球を旅立って、
150億年かけて、ふるさと(虚空)に帰っていく…。

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帯津先生の基本的な考え方は、
「医療者は人間が本来持っている自然治癒力にはたらきかけて、
臓器の一部を治すのではなく、人間まるごとを治す」
というものでした。

郁ちゃん、帯津先生に出会えてよかったね。

先生の連載が始まったこと、
もしかして古希を迎えた母への
郁ちゃんからのサプライズかなあ〜。

「人々の胸に秘めたるかなしみにこそ癒しの力がある」は、

郁ちゃんからのメッセージだったんだね。
ありがとう。