特別なロンドン

イギリス王室のウエディングの話題が盛り上がって(?)いますね。
ロンドンといえば、
私にとっては、郁代との二人旅が強烈です。


郁代との思い出を書いた

「あなたにあえてよかった」

こんな箇所があります。


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「郁代がお母さん一人だけの添乗員になって、
ヨーロッパ旅行してくれないかなあ」
「いいんじゃない?」
旅行は八月のお盆過ぎからの十日間と決まった。

郁代がオーストラリアから私を迎えに来て、
ツアーのスタート地となるロンドンに向かった。
夏目漱石が英国留学してから百年目となる節目の年に当たっていた。
ロンドン塔をバックに郁代と私は写真に収まった。
到着した日の夜は、ミュージカル「キャッツ」を観劇し、
翌日からは、バカンスを楽しむアメリカ人参加者が中心の、
ヨーロッパ一周ツアーが始まった。
「私が通訳するから安心だよ」と言いつつもその言葉が終わらないうちに、郁代はもうツアー客と話すのに夢中だった。
私との約束はほとんど守られなかったような気がする。
それでも私は充分しあわせだった。


遠くにいて家族と過ごすことのない娘と、
十日間を共に過ごすという私の目的からすれば、
何の不足もなかったのである。
郁代は今後年老いた両親が、もし病気で寝込んでも、
すぐには看病に来られないだろう。
その時、親孝行できないと悩むだろう。
親孝行を今のうちにしておいて貰えば、もしもの時、気が楽だろう。
これが旅行にかけた、私の本当の願いだった。

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郁ちゃん、
幸せな時間をプレゼントしてくれて有難う!


両親に代わって、郁ちゃんが病気にならなくてもよかったんだよ・・・。