受賞作品「田舎のコンビニ」

「田舎のコンビニ」(テレビ金沢制作)
         〜第6回日本放送文化大賞準グランプリ受賞作品〜

が、日本テレビで今朝10時半より全国放送されました。


子どもを都会に送り、故郷に残る親達の孤独を癒す、元気な女性店主と、
店に集うお年寄り達。
4年間に亘る人情物語から日本の田舎が抱える深刻な過疎が・・・。





「見どころ」
日本全国の隅々で深刻化する過疎問題。
石川県穴水町甲と曽良地区も、廃線、小学校閉校、郵政民営化と、政治から見放され、過疎化に歯止めが掛かりません。
食料自給率40%の日本ですが、人口の半分が65歳以上という限界集落が増え、雑草を生やす耕作放棄地が目立つようになりました。
また、田舎にも複合型大型店が進出した事で、地元に密着して商いをしてきた、個人商店の経営が成り立たなくなり、交通手段を持たない高齢者が、食料品の買い物にも不自由しています。
この『買い物難民』といわれる人たちは、経済産業省の調べでは600万人に上っています。
やせ細っていく過疎地域に住む人々の暮らしは、地方都市金沢でもあまり知られておらず、ローカル局の使命として、日の当たらない所に密着した番組を制作し、発信をしたいと思いました。
この番組は、報道的に問題を訴えるのではなく、人の暮らしを通して、深刻さを増す過疎を伝えたいと、4年間に亘り、継続取材したものです。
お年寄りが、心のよりどころとしている一軒の商店を定点として、女性店主を主人公に、いま失われつつある人情を描きながら、過疎の現状を訴えます。


「内容」
野良着姿のお婆さんが店の長いすに座ると、店主の美和子さんが「焼けたよ」と、
サツマイモを差しだし「長生きして年金で買い物して」と笑わせます。
ここは、お客さんの大半がお年寄りの万屋「やぶこし商店」。
買い物に来たお年寄りが、昔ながらの井戸端会議に花を咲かせています。
人気の秘密は美和子さんの愛嬌あふれる人柄と、お年寄りに寄り添うサービスです。 
大型店の進出で、売り上げが落ちるなか、美和子さんは交通手段を持たない、お年寄りのために送迎や宅配のサービスをしています。
単に、店に連れてくるだけでなく、頼めば診療所や農協まで連れて行ってくれる、親戚のような付き合い方で商売をする、美和子さん。
しかし、どんなに努力をしても、じりじり進む過疎化にはかないません。
お客さんとのやりとりの中に、過疎の現実が見えてきます。
「嫁の来てがない」とつぶやく親や、唯一の楽しみが「やぶこし商店に来る事だ」と言う、独り暮らしのお年寄り・・・・・・。
一軒の商店に集う人たちの暮らしを見つめると、祭、教育、農業などすべてに限界が来ている田舎のありのままが見えてきます。
 しかしここ、やぶこし商店には、笑顔がありました。(番組サイトより)
・・・・・



「田舎のコンビニ」は、かつてどこの集落にもあった懐かしき「よろず屋」なんですね。
売れ筋商品といえば、介護用おむつと仏壇用ローソク・・・。
人気商品は何と言っても、店主美和子さんの無償の「心のケア」・・・。
「やぶこし商店」は集落の灯台みたいな役割を果たしています。
この地域の人たちは「ひとつの家族」を生きていました。






























現在かきまつりのイベントで賑わう能登穴水町は、
私が子供時代を過ごした「能登演劇堂」のある中島町(現・七尾市)の隣町です。
子どもの頃は、国民宿舎能登小牧台のある海辺で過ごしましたが、
「甲、曽良」地域は、海岸沿いに10km余り先でしょうか。


名前はよく親しんでいましたので、食い入るようにテレビを観ていました。
廃校式が映っていた兜小学校の出身だった義兄には、
番組はとても懐かしいものだったようです。
美しい海、山、おばあちゃんたちが話す言葉も、
私の過ごした田舎と少しも変わりありませんでした。
とっても感動しました。


「やぶこし商店」店主美和子さんの笑顔、
本当に素敵で心温まるものでした。



全国放送で石川県を取り上げた番組が、
21世紀美術館の紹介
の後、続いてあったことがとても不思議でした。


「都市」と「田舎」、
どちらもテーマは“人のつながり”でした。