春の風 15 



かっこちゃんの日記配信「宮ぷー心の架橋プロジェクト」より、
読者からのお便りをお届けしています。


第617号   宮ぷー こころの架橋ぷろじぇくと    
                        2011年4月15日


(前略)
こうちゃん先生が、またドキドキするメールをくださいました。

・・・・・
中堅脳外科医こうちゃんです。
前に何度かメールを送らせていただきました。
酒を飲みながら友達と話をしているうちに、言い合いになりました。
酒を飲んでいるうちに、宮ぷーさんとかっこちゃんの話になったのです。
僕の友人の医者は最初
「まあ、そういうこともまれにあるだろう」と言った。
僕は腹が立ってね、「そういうことだから、僕たちはだめなんだよ。
自分たちがするべきことをしてこなかったのじゃないのか?
生かしたらそれでいいのか? 
おそらく方法があるんだよ。学ばなくちゃ変わらない。
学問書では学べないことがあるんだよ」
と酒を飲みながらなんだけどね、話した。
かっこちゃん、わかってる?
どんな薬飲んでも、治療してもこういう状態からは、ありえないと思っていることを二人で起こしてるってこと。
魔法じゃない、奇跡じゃないっていうことを。


僕はずっと考えていることがあります。
僕は脳外科医ですから、何らかの理由で、
脳を損傷された方に毎日たくさん出会います。
そして、病院にもたくさんの方が入院しています。
宮ぷーさんも、かっこちゃんも今更僕がこんなことを言っても別に大丈夫
だと思うんだけど、出会う多くの人たちは、
宮ぷーさんよりは、発症の時点では深刻ではないわけです。
けれど、二年以上たった今、どうしても、僕は自分の患者さんや、
出会った人たちと宮ぷーさんを比較してしまうわけです。


宮ぷーさんは脳幹にあれほどに大きな出血をしながら、
意思を伝えるのみならず、宮ぷーさんの座っている姿は、
首をしっかりと立て、その状態から首を縦に動かしてうなずき、
返事をしている。
食べることができるようになり、カレーライスを楽しみにし、
車いすを自分で操作する練習をしている。
そういうことを目の前に見せつけられると、
今まで僕が行ってきたこと、信じてきたこと、
何もかもが根底から覆されるわけです。
メルマガを読んでいない人であれば、奇跡で片付けることもできるでしょうね。
けれど、奇跡ではないことは、メルマガを読んでいれば、わかります。
宮ぷーさんはまさに、「生きる」ことはどういうことかを僕たちに見せつけている。


僕たちは命を助けることを一生懸命に取り組んできた。
手術や薬などを武器にして、患者さんを助ける医療をつきつめてきた。


しかし、かっこちゃんは丸腰なわけです。
何も持たない。
そのかっこちゃんが、
ありとあらゆる武器と知識を総動員して戦っている私たちに、
丸腰だけれど、圧倒的な優しさと強さで、
我々が不可能としてきたこと、ありえないと決めてきたことを、
可能にしている。
かっこちゃん、僕は今日はちょっと酔っています。
わけのわからないこと書いてるけど、本気なので許してね。
それではまたね。
・・・・・


昨日いただいたこうちゃんのメールを見て、
やっぱりもったいないなあと思いました。
けれど、実は私はすごくドキドキしてびっくりしたのです。
方法があるとこうちゃん先生はおっしゃいます。
私も方法がもしかしたらあるのかなって、
もしかしたらそうなのかもしれないと思うようにこのごろはなりました。
昨日も友達とその話をしていたところでした。
少し前にいただいたメールです。
・・・・・
宮ぷーさんは奇跡的な回復をとげていますね。
けれどそれには理由があるはずです。
かっこちゃんはそばにいて、何が違っていたと思いますか?
何がよかったのだろうと思いますか?
・・・・・

講演会のときにもときどきお尋ねがあります。
先週の土曜日にも日曜日にもお尋ねをいただきました。
「どうしてあんなに首がしっかりしているんですか?
なぜうちと違うのですか?」
「どんどん表情が変わって、回復しているのがわかります。
なぜ回復し続けているのですか?」


回復をいつも願っている私にとっては本当にうれしい質問ですが、
でも、何かわからないのだけど、
もやもやとした思いが私の中にありました。
なんでこんなにもやもやした思いがあるのかなあと思ったら、
最近わかった気持ちがしています。
お医者さんや看護師さんや病院のスタッフのみなさんが、
ものすごく心を尽くしてくださって救ってくださった命です。


でも、もしも、もしも、みなさんがおっしゃるように、
こうちゃん先生が言ってくださったように、
さらにいただいた命をもっと輝かす方法があるのなら、
やっぱり、意思伝達の方法と同じように、
その方法について私も知りたいし、お伝えしたいです。
もし、宮ぷーと一緒にいてしている方法がよかったなら、
何がよかったのか、何が効果があったのか、私も知りたいです。
(後略)

                  
宮ぷーと病院の近くの桜を見に行きました。                      かつこ