千恵ちゃんの「ありがとう」 1

ハナミズキ
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                       (5月)


 
かっこちゃんの日記配信
第697号 「宮ぷー心の架橋プロジェクト」より転載させていただきます。
  

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「7/4  昨日の宮ぷー」よりの抜粋です。


宮ぷーがおととい「本の題名どうなったの?」と聞いてくれたので、
「ありがとうの花になるかもしれない」と私が言ったときに
「ありがとうの花のおはなしをもう一回きかせて」と宮ぷーが言いました。
それはこんな話でした。


・・・・・
養護学校で出会った千恵ちゃんのこと。
千恵ちゃんはね、トイレでもどこでも、
私が千恵ちゃんを抱きかかえたら「ありがとう」、
座ってもらったら「ありがとう」って、
ありがとうを何度も何度も言うんだよ。

 
 千恵ちゃんに、「そんなにありがとうって言わなくてもいいよ。私は千恵ちゃんとトイレに来るのがうれしいし、千恵ちゃんといると楽しいし、
そんなに何度もありがとうばかり言っていたら、千恵ちゃんずっとありがとうばかり言わなくちゃならなくなるよ」って言ったの。
そうしたら、千恵ちゃんがこう言ったよ。


「かっこちゃん、そうじゃないよ。お母さんが教えてくれたの。
ありがとうって言うと、千恵子の心に花が咲くよって。
相手の心にも自分の心にも、ありがとうって言うと花が咲くよって。
お母さんがね、千恵子は事故で障害を持って、
なくしたものもいっぱいあるかもしれないけど、
そのおかげで、ありがとうっていっぱい言う機会をもらったんだよ。
人に手伝ってもらわないと千恵子は生きていけない。
でも、そのたびにいっぱいありがとうと言えるね。
そうすると、心に花が咲くんだよって、お母さんが教えてくれたよ。
かっこちゃん、ありがとうと言うと、うれしいよ。
ありがとうと言うと、しあわせになる。
私もみんなもしあわせになる。
私は、みんなに手伝ってもらわないといけない。
でもだからこそ、ありがとうがいっぱい言える体にしてもらったんだよ」

 
 千恵ちゃんがそう教えてくれたの。
私は泣いたんだよ。
トイレで千恵ちゃんと抱き合って泣いたの。
ありがとうっていっぱい言って泣いたよ。
私はそれから、ありがとうと言うと、
なんだか、心にひまわりがひとつ咲いた気がしたの。
千恵ちゃんはひまわりが好きだからね。
・・・・・


宮ぷーは介護士さんや看護師さんに「ありがとう」を言っている? 
そう聞いたら宮ぷーは、
「何度もボタンを押さないとありがとうが出てこないから、
まにあわないから、最初から言えない」と言いました。
確かにボタンをいくつも押したりして、時間が掛ってしまうから、
そのあいだに、お忙しい看護師さんたちは行ってしまわれるなあと思いました。もっとすぐに言えるところに入れられない? 
宮ぷーがありがとうと言うと、
いっぱいいっぱいありがとうの花が咲くよと私がいいました。


でも、よく見てみたら、レッツチャットのすぐに使える言葉のボタンは二つしかなくて、「外部出力」「にょうき・・・」としてしまっているからむずかしいなあ、
仕方がないねと言って帰ったのです。
でも、昨日病院へ行ったら、宮ぷーのレッツチャットは「発音」「外部出力」「ありがとう」に変わっていました。
「尿器当ててください」はすごく大切で緊急を要する言葉なのに、
いいの?と聞くと「いいよ」と言って、
昨日は何度も何度も私にありがとうを言ってくれたのです。