子どもたちが教えてくれたこと (3)


かっこちゃんのメルマガ
第746号 「宮ぷー心の架橋プロジェクト」より抜粋転載させていただきます。



森安さんのお話しの最後です。
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「出会い」
最後に、なぜ私がこの仕事をするようになったのか、そのきっかけをお話
しします。それは4年前の5月のことでした。
ある日の夕方受付から電話がありました。
「森安さん。養護学校の先生、来られてますけど・・・」
先生が電話口に出て来られて「こちらの会社では養護学校の生徒の職場実習をやってもらえないでしょうか」と。
養護学校?職場実習?そんなの会社の仕事と関係ないよ。
私は電話口で断ってしまおうと思いました。
でも私は思い直しました。
知らない学校の先生が会社に来るなどということは、なかなかありそうにないことです。
話だけでも聞いてみようかと思い、私は先生を迎え入れました。


先生は「職場実習のお願い」という紙を見せて、
「こんな生徒たちで、就職も難しい。せめて職場実習だけでもやってほしい。一人でもいいからお願いします」と。
それを聞いても私はピンとこなくて、別にうちの会社でやらなくてもいいよね、なんて思っていました。
やっぱり断ろうと思ったのだけど、私はもう一度思い直しました。
この話の主役は養護学校の生徒たちです。
会ったこともないのに、断ってはいけないかなあと思い、私は先生に
「生徒たちに会わせてくれますか」
と言いました。


10日後に約束して、私は学校に行きました。
でも、本当は学校の前まで行って、私は学校に入れませんでした。
ちょうど休み時間で子どもたちが遊んでいたのだけど、
叫び声や奇声が聞こえてきて、私は怖くなりました。
やっぱりこんなところに来るんじゃなかった。もう会社に戻ろう。
そう思って、一度は門の前を通り過ぎ、でも・・・
約束だから・・・また戻ってきて・・・そんなことをしているうちに、先生に見つかって、私はしかたなく学校に入りました。
そうして恐る恐る出会った子どもたちだったのだけど、子どもたちは、とても優しく、温かく、私を迎えてくれました。


「思っていたのと違うなあ。何てかわいい子どもたちなんだろう」
そのとき私はそう思いました。
こんなかわいい子どもたちが、障害があるために、幸せになれないん
だって。
でも、そのとき、私はとても心が痛みました。
私は、障害とは、体が不自由なことだと思っていました。
知能の発達が遅れていることだと思っていました。
でも、この子どもたちから見たとき、本当の障害とは、この子どもたちを受け入れてくれないこの社会のことだと気がつきました。
そして、それは、この子どもたちを知ろうともしていなかった、私のことでした。


こんな私を優しく迎えてくれた子どもたちが、私はその場で大好きになりました。これから、この子どもたちが幸せになる仕事を、私はしよう。
そう心に決めて4年がたちました。


「みなさまへ」
私の大好きな子どもたち、そしてこんなすばらしい子どもたちを育ててくださっているみなさまに、私の感謝の気持ちを捧げます。
そして、私たちの当たり前を、社会の当たり前に。
それが私の願いです。
つたないお話でした。ご清聴ありがとうございました。
森安 英憲
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三回にわたって森安さんの講演の原稿を載せさせていただきました。
何度も胸がいっぱいになりました。
すごく大切なことをいっぱい教えていただきました。
かつこ


後日、森安さんから追伸のメールです。
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こんにちは。
私の文章への感想をたくさんのせていただいてありがとうございます。
中で、私を「社長」と思われている方もいらっしゃいますので、ちょっとお知らせ。
私はそんな偉い者ではありません 笑。
管理部長という、いわば「経理屋」なんです。
そんな私が「養護学校の生徒の職場実習を」なんて言い出すものだから、会社は面食らったことでしょう。
究極の効率性・合理性を追い求める経理屋が、
今までやってきたことは、究極の非効率・不合理だなんて言い出すのだから、これまた最初はみんなひっくりかえったものです。
今ではこれが真理だ、この方針でいこうと、社員のほうが言ってくれるようになりました。
森安の常識は社会の非常識と言われてきましたが、私のような非常識な者だからできる仕事もあるのかな、と。


とても面白い職場だと思うので、お近くの方はお気軽に当社へお越し
ください。
630−8012奈良市二条大路南四丁目1番1号
立積住備工業株式会社 管理部 森安 英憲 
0742−33−3445 moriyasu001@sekisui.jp
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