みんなその人に必要だからそこにある





『手をつなげばあたたかい』山元加津子著・サンマーク出版
―本当のことは、みんな同じ―(211p)からの抜粋です。


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「さっき、お坊さんが『親鸞聖人が悟られた』と言われましたが、
『悟る』ってどういうことでしょうか?そして、南無阿弥陀仏ってどういう意味でしょうか?」


「どういうことを悟られたのかというと、どんなことも、なるようになっているということです。偶然というものはなく、いつも起きるべくして起き、出会うべきして出会うということです」とおっしゃいました。


それから「『南無阿弥陀仏』とは、人がむなしく生きなくてすむように、『もの』や『こと』や『人』が、与えられるように周りに現れて出会うことができるということです。周りにあるものもことも人も、みんなその人に必要だからそこにあるということです。


「よくお年寄りが『おかげさまで』っておっしゃるのは、そういうことですか?」
「そうです。つらくて、悲しいと思うことすら、私たちのために用意されたものだということです」と教えてくださいました。
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「会いたい人、みんなに会えてよかった。
あしたから、わたしだけの時間にして静かにすごすわ・・・。
これまでお母さん、完璧やったわ。
必要なもの、必要なことが、いつも直ぐに用意されていたもの・・・」

    『あなたにあえてよかった』より


亡くなる前の晩、郁代からの最期のメッセージでした。


郁代が旅立った後、部屋には山元加津子さんの
『本当のことだから』(三五館)が遺されていたのでした。
私もはじめてみる本でした。



原田大助さんの『さびしいときは心のかぜです』(樹心社)を私が読んでいたので、そのころから山元加津子さんのフアンだったのかもしれません。
それにしても八年間も、シドニーで滞在していた郁代が、
山元さんの新刊本を読んでいたことにとても驚きました。





『手をつなげばあたたかい』は郁代からのプレゼントでした。
「これまでお母さん、完璧やったわ。
必要なもの、必要なことが、いつも直ぐに用意されていたもの・・・」
郁代の声が聞こえてきて、涙があふれてくるのでした。