明かりをともしてくれる本です

郁代のお墓の周りのドウダンツツジ(満天星)がきれいです。





今日のメルマガ、胸がいっぱいになりました。
「心の底から、私たちは大丈夫だと思えた」といわれる、
被災された咲き花ちゃんに、逆に元気をもらいました。
ありがとう!


第840号 「宮ぷー心の架橋プロジェクト」より転載です。   


今朝、咲き花ちゃんから「手をつなげばあたたかい」の感想をいただきました。咲き花ちゃんは、東日本大震災で、大切な彼を亡くされたのです。


・・・・・
山元加津子さん、かっこちゃんの「手をつなげば、あたたかい」を読みました。私は、3月11日の東日本大震災で、心から信頼し、大好きだった彼を失いました。
遺体でみつかった彼がかっこちゃんを好きで、かっこちゃんの映画を一緒に観たことが、私がかっこちゃんを知ったきっかけでした。
かっこちゃんは、ご自身が出しておられるメルマガの中で、
「私は東北の方に、何もできないでいる」と何度か書いています。
けれど、かっこちゃんは、現職教員で、友人の介護、リハビリを毎日行い、作家としての活動も続けるというハードスケジュールの中で、手作りで魔法の杖を作り、被災された人に、杖を送り続けていたことも知っています。
メールには必ず返事をくれます。
そして、かっこちゃんに関わった人を元気にし続けて、支え続けています。
私もその一人です。


もし出会えていなかったらと思うと背筋が寒くなる思いがします。
かっこちゃんはそういう人なのです。
「手をつなげば、あたたかい」を書いていたある日に、
かっこちゃんは私に書いてくれたのです。


「咲き花ちゃん、私は東北に一度も行くこともできず、土砂を運ぶことも何もできずにいます。
時間があるたびに、東北へ出かけておられる方が、
自分にはできないことをされている事に、本当に言葉にできないほど、
感謝して、そして一生懸命毎日を生きておられるみなさんのことを思うと、敬愛の念と言えばいいのかわからないけど、涙がとまりません。
私にできることは何だろうといつも考え続けてきました。


そして、見つかった答えは、私は、小さいときから、感じてきた、
“どんなこともいつかのいい日のためにある”そんなふうに宇宙ができていて、それが宇宙の約束だということを、もう一回、みつめなおして、
一生懸命書こうということでした。
今、大変な中におられる方にとって、それは、なんとものんきな考えなのかもしれません。
それでも私は思っています。
みんな宇宙に愛されていて、だいじょうぶなんだって。
咲き花ちゃん、私は、一生懸命書きます。
それが、自分にできること。私は誓うよ。
決して、本を書くこと、校正することなど、手を抜かない。
忙しいとか、時間がないとか、眠いとか、そんなことを理由にしないと誓うよ。


科学も宗教も量子力学もきっと、何もかもが、みんなに大丈夫だよと伝えてくれているに違いないから、みんなにわかってもらえるように、
最後まであきらめないで、どんな妥協もしないで、この本を作ります。
今まで出会った子どもたちや、私の昔や神様や、今、一緒に生きてくださっているおおくの方が、きっと私を応援してくださる。
私の後ろにいつも働いている大きな力を信じて、私、一生懸命書きます。
だって咲き花ちゃん、それが私のできるたったひとつのことだから」


そんなふうにしてかっこちゃんが頑張ってできあがった本を手にして驚きました。
なぜ、この本には温度があるのだろう。
触っただけで温かいのだろう。
読みながら、かっこちゃんの決意が何度も私の頭の中に蘇ってきました。
私も、心の底から、私たちは大丈夫だと思えたのです。
私の周りには生きる希望をなくしてしまった人もたくさんいます。
自殺者も増えています。
そんな人たちに、必ずこの本は明かりをともしてくれるはずです。


避難先の中学校の体育館で知り合った中学生の友だちがいます。
流されずに生き残った家族は、中学生の彼女とおばあちゃんだけでした。
おばあちゃんは、毎日涙にくれて、食べたり眠ったりができなくなって、「早くお迎えが来て欲しい」と毎日のように彼女に言っていたそうです。
おばあちゃんはもうテレビすら観ることもなく、
本を読むなんていう元気はとてもなかったので、
中学生の孫である友だちが毎日「手をつなげば、あたたかい」を読んだそうです。
おばあちゃんは今では、
「ごはんを食べないとかっこちゃんが悲しむから」
「これもいつかのいい日のためだから」
と口癖のように言うようになって、笑顔がもどってきたと、
彼女泣きながらが話してくれました。
私はかっこちゃんが渾身の力を込めて書いた、けれど、温かくて光のようなこの本を多くの方が手にとって欲しいと思っています。
かっこちゃんありがとう。
・・・・・


咲き花ちゃんが、あまりにほめてくださっているので、
自分は本当は「誓うよ」とか「絶対に」なんて書きながら、
何もできずにいて、恥ずかしくなりました。
でも、涙が止まらなくて、そして、うれしくて、メルマガに載せさせていただきました。
魔法の杖だって、そんなにたくさん贈らせていただいたわけでもありません。
それに、杖は、もともとは海で拾ったただの棒だから、魔法が使えるわけでもないんです。
でも、この本を一生懸命書いたのは本当です。
咲き花ちゃんありがとう。
本当にありがとう。
咲き花ちゃんに最初にメールをいただいたときのことを「ありがとうの花」
(三五館)の中から拾ってみます。


・・・・・・・
咲き花さんから最初にメールをいただいたのは、東北のほうで大きな地震があって二十日ほど経ったころでした。
宮ぷーのところに、私の二女のせいらが来ました。
せいらが来たのは、ずいぶん久しぶりでした。
宮ぷーはせいらに、
「満天の星の歌をうたってほしい」と言いました。
その歌は、私が作った歌です。
私が出ている二本目の映画「宇宙の約束」の挿入歌をお友だちのまなちゃんといっしょにせいらが歌っているのです。
咲き花さんはせいらが来た日の日記についてメールをくださったのです。


〈中学校の体育館にみんなでいます。
テレビやラジオを見ることは難しいけれど、 
ありがたいことに携帯は使えます。
宮ぷーさんとかっこちゃんの日記に、どんな に助けられているかしれません。私たちはひとりでないということを、心から信じられるから。宮ぷーさんがせいらちゃんに「満天の星を歌ってほしい」と言ったことを日記で知り、思わず涙がこぼれました。
「宇宙の約束」の映画は、流されて遺体で見つかった彼と観た映画です。
彼は「満天の星」の歌が気に入って、映画の帰 り際「満天の星」が入ったCDを買ってくれて、帰りの車の中で、何度もリピートしてせいらちゃんの満天の星を聴きました。

  
 私もせいらちゃんの満天の星を聴きたくて、夢中でユーチューブで曲を探しました。
「わたしとあなたどうしてここに一緒にいられるのだろう 
 銀河の流れ 指でたどり 宇宙のひとつでいよう」
涙が抑えれられなくなって外に飛び出して、声をあげて泣きました。
悲しいから泣いたのではありません。
うれしくて泣いたのです。
私と彼はいまもいっしょに宇宙のひとつと、しっかりいまわかりました。
みんな周りでがんばっている。
両親を亡くした人、子どもを亡くした人、みんながんばっています。
けれど、私は彼がいないということで、がんばる気力をなくしていました。どうして、私を残して一人で行ってしまったのと彼に恨みごとを言いたかったりもしました。
でも、違っていたことに気がつきました。
私は一人ではないということを教えてくださってありがとうございます。

  
 かっこちゃんお願いがあります。
「満天の星」の歌、被災された方に聴いてほしいです。
知らない方も多いと思うから、みなさんに伝えてもらえませんか?
かっこちゃんありがとう。
私、がんばります。
彼もいっしょとわかったから、みんながいてくれるとわかったから、
宇宙のひとつで生きていきます〉


 咲き花さんのメールを読み、私は声をあげて泣きました。
咲き花さんの大切な彼が亡くなられて、咲き花さんのおつらい思いに胸がいっぱいになったということもあります。
それから、咲き花さんががんばりますと言われていることにも、
心がゆさぶられました。でも、私の涙の理由はそれだけではないのです。


「満天の星」は父が亡くなる少し前に作った歌です。
父に電話で聴いてもらったときに「宇宙のひとつでいよう」というのがいいなと父が言ってくれました。
そして、「宇宙の約束」の映画には、父が亡くなり、
そして母がそのあと、心がつらくなって病気になったシーンも出てきます。でも、父は亡くなったけど、母や私のそばにいて、いつもいつも私たちを、私たちがつらいときこそいっそう守ってくれているんだなあと実感するシーンが出てくるのです。


 私は咲き花さんにメールをいただいて、すごく実感したのです。
父が亡くなり、そして、「宇宙の約束」の映画ができ、「満天の星」をせいらが歌って、そして、咲き花さんと彼がお二人で観に来てくださった。
彼は津波で流されてしまったけれど、きっと、きっと元気を出してほしいと咲き花さんの彼もまた咲き花さんを守っておられるに違いないのです。
私たちはバラバラに自分の人生を生きているようだけれど、
決してバラバラではないのですね。
出会ったこともなかった私や父や咲き花さんや咲き花さんの彼。
それでも、時を超え、場所を超えて、私たちはいつも宇宙のひとつ。
どのことにも意味があり、父が亡くなったことも、またおおきな意味があったのに違いありません。
そのことに気づかせてくださった咲き花さんにも彼にも、
心からありがとうと言いたいです。
・・・・・・・


みなさんが、不思議と手に取るととても温かいとか温度があると言ってくださることに、私もとっても驚きます。
色かなあとか、紙の質かなあなんて思ったりもします。
でも、本に力があるのだったらやっぱりとてもうれしいです。(抜粋)
                        かつこ



満天の星「宇宙(そら)の約束」