決して自分を見捨てなかった





『困ってるひと』大野更紗さん。
どんなに絶望に追い込まれても、
決して自分を見捨てなかったところが郁代と重なって胸に迫りました。



Webダ・カーポ「今年最高の本 !」。
『困ってるひと』の著者インタビューから抜粋です。


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『困ってるひと』は、1人で書いたという感じがあまりしないんですね。


体調は悪いのが普通なので、書きながら、「もうだめだ〜」と、当然ながら何度も思いました。
身体的にもものすごく負荷がかかります。
そういうときに、「わたしも困ってる」「実はわたしもそう思ってた」
「自分もずっと堪えてきた」と読み手の方々から、言葉をいただいた。
不意に、偶然に、さまざまな人と出会い、支えられ、そうやって最後まで書ききれたのだと思っています。


ー終わらない不況の中、昨年は東日本大震災がありました。
大野さんは震災後に実家のある福島県に入られたそうですね?


2011年の10月に、福島県内最大の郡山市の書店さんが『困ってるひと』の出版記念イベントを開いてくださったんです。
車を手配したり、薬やいろんなものを準備して、
日帰りで強行突破で伺いました。
もちろん大変ですが、行って本当によかったと思っています。


被災地の「内部」から見える風景と、「外部」から見える風景は違います。
それは、難民キャンプを歩き回ってフィールドワークをしてきたころから、痛切に感じてきたことです。


外部者や援助者は、その場から逃げられる。


ただ、ふと寄り添うことくらいしか、できることはないけれども。
それでもともかく、できることを続けることが大事なのだと思っています


『困ってるひと』は退院したところで終わっているので、その後の「シャバ」の困難について、ひとまず準備中です。
そのほか、主にWeb上などで、日本社会の「難」の現場のフィールドワークのルポなども、既にちまちまと書いています。


「あきらめない」ということの本質は、
自分とは異なる他者と語ることをやめないことだと思っています。
誰にとっても困難だらけの現実はすぐそこにあるのだけれども。
けれども、少なくとも、「あきらめない」でやっていこうと思います。
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第5回「(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞」受賞
おめでとうございます。




郁代のお別れの旅1
郁代のお別れの旅2


「あなたにあえてよかった」