はるか遠くにある自然
「はるか遠くにある自然は、
そこにあると思うだけで心が豊かになる」
星野道夫さんが書いているように、
私の心が揺れるとき、
魂をゆさぶる写真と言葉の数々に出会うと心が落ち着きました。
はるか遠くにある自然で、郁代と出会っていました。
ALASKA 3 (アラスカとの出会い)
昭和27年 星野は会社員の普通の家庭に生まれた、冒険心旺盛な少年だった。
あるとき、写真集で見たのが一枚の航空写真、
アラスカ北東部にあるシシュマレフ村。
「あなたの村を訪ねてみたいです。仕事は何でもしますから、
どこかの家に置いてもらえないでしょうか。
アラスカ シシュマレフ村 村長へ」
とだけ書いて投かんした。
ところが奇跡が起こります。
半年後返事が来たのです。
「いつでもきなさい。夏はトナカイの角切りの季節です。
なんだってできますから」
・・・・・
くじらは圧倒的な生き物だった。
くじらはなぜ海を出て宙を舞うのでしょう。
ただ、とび上がってみたかったのかもしれない。
風を感じてみたかったのかもしれない。
・・・・・
人間にとって、きっと大切な二つの自然があるのだろう。
ひとつは日々の暮らしの中で感じる身近な自然である。
もう一つは日々の暮らしとかかわらない、はるか遠くにある自然である。
そこにあると思うだけで心が豊かになる自然である。
星野道夫