長崎ぶらぶら節

ああ、歌よ降りてこい   パライソの国から降りてこい


昨夜は文学座公演、
2000年の直木賞受賞作となった、なかにし礼「長崎ぶらぶら節」を観てきました。
金沢市民劇場の例会です。
作家の代表作を自ら戯曲化し、新国立劇場の芸術監督となった鵜山仁の演出での上演でした。 


<あらすじ>
 長崎郊外にある網場の貧しい家で生まれ育ったサダは、十歳で丸山遊里に奉公に出され、十七の歳から「愛八」の名を戴いて芸者となった。
苦労しながら芸事に励み、歌舞の冴えと十八番の「土俵入り」で、
愛八(平 淑恵)はやがて丸山でも有数の売れっ子になってゆくのだが、
木戸御免を授かるほどの太っ腹な角力好きで、また義侠心が強く苦労している人には身銭を惜しまず援助したため、蓄えも持たないまま歳月が過ぎていった。
 そんなある日、相撲見物に出掛けた愛八は町芸者と些細なことから口論になり、これがきっかけで古賀十二郎(大滝 寛)に出会う。
やがて町芸者を伴って遊郭花月に現れた古賀は最後の散財で身上をつぶすが、町学者として長崎の研究に意欲を持つ古賀の純粋な情熱に愛八は惹かれてゆく。


「な、愛八、おうち、おいと一緒に、
                 長崎の古か歌ば探してあるかんね」


 初老を迎え生きる目的を見失いかけていた愛八に、古賀の誘いは一筋の光明であった。
共に夢を追う決意をした二人は歌を探して長崎を彷徨し、やがて埋もれていた「長崎ぶらぶら節」を探し当てる……。    


〈作者 なかにし礼のことば〉
『歌 この不思議なもの』
小説「長崎ぶらぶら節」は、
多くの歌を書き続けてきた私の歌へのオマージュだ。
一つの歌がいかにして天上から舞い降り、作者の心を通して世に生まれ、また消え去り、そしてまたいかに蘇るか・・・・・。
不滅の命を持つ力に魅せられた男と女の物語でもある。
このたび文学座での舞台化にあたり、自ら戯曲を書くことで、
その想いをいっそう色濃く表現したつもりだ。




主演の平 淑恵さんきれいでした。
歌、三味線、踊りにうっとり・・・しあわせな時間がながれました。


都合で指定席のある金沢文化ホールから、野々市フォルテに変更したのですが、なんとなんと・・・
一番前、特等席、役者さんに触れるほどで夢のようでした。
本当に“パラダイスの国から”歌が降りて来たのです。 
ありがとう!  ありがとう!!



「長崎ぶらぶら節」が聴けます。




自らの引き揚げ体験を描いた映画「赤い月」の強烈な印象も忘れられません。
なかにし礼は、
「この小説を書くために生きてきた」と断言しています。