『遺書』

アルバムを眺めていたら・・・初めて見る郁ちゃんがいました。


「エディさん、みなさん、お元気ですか?
いつも有難うございます。
シドニーが懐かしく思い出されてなりません」 郁代







いのちの故郷へ還った郁代の
『遺書』


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おとうさん おかあさんへ



わがままな娘でごめんね。
いつもつっけんどんでごめんね。
口が悪くてごめんね。
心配ばかりかけてごめんね。
親孝行できなくてごめんね。
孫の顔、見せられなくてごめんね。
おとうさん、おかあさんより先に死んじゃってごめんね。


三十四年間という、少し短めの人生だったけど、
おとうさん、おかあさんのおかげで、
楽しく、充実した人生でした。


子どものころから、のびのび自由に育ててくれて有り難う。
わたしを信頼し、やりたいことをやらせてくれて有り難う。
いつも心配してくれて有り難う。
わたしのために、泣いてくれて有り難う。
生んでくれて有り難う。
おとうさん、おかあさんの子どもとして生まれて来られて、
わたしはとってもしあわせだったよ。
本当に有り難う。

                      郁代
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「あなたにあえてよかった」より


郁ちゃん、昨日はね、
シドニーの会社の上司エディさんの指示で、
秘書(元同僚)のサイトウさんからご挨拶のメールを頂きましたよ。
毎年命日には、これまで一度も欠かさず下さるのです。
とても大きな会社から、もう七年も経つのに信じられないほどです。
有り難くて、涙が止まりませんでした。


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『8月14日』

大浦さん
いつもご無沙汰をしてしまい申し訳ございませんが、
お変わりありませんでしょうか。
日本は毎日暑い日が続いていると聞きますが、
電力不足の折お体など壊さないようどうかご自愛くださいませ。


さて今年も郁さんの命日に合わせてご連絡をさせていただいております。 
エディーさんからも朝から、くれぐれも宜しくと申しつかっています。
今年で7年経ったでしょうか。 


毎日慌しくばたばたとしていると忙しさにかまけて、
ゆっくり色々な事を考える余裕もなく時間が過ぎていきますが、
毎年この日になると郁さんを偲び、
改めて自分の成長の無さなどを省みる事になります。 
ただ年だけを取っていくようで困ります。

大浦さんもお体にお気を付けて。
またご連絡をさせていただきます。
サイトウ
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