あなたが取り組めばよい

白雪姫プロジェクトの“プロフェッショナルな人々”のページに
(独)国立循環器病研究センター  神経・脳外科(疾患分子)研究室長
柳本広二医師の記事が載りました。



「覚悟と責任を持ってことに当たれば何かが変化する可能性はいつでも誰にでもある」
「決して諦めなくてよく、目の前にいる(彼/彼女が大好きな)あなたが取り組めばよい」
というメッセージを届けたい・・・とあり、
柳本広二氏のとても温かな気持ちが伝わってきました。


目次
1.背景と新たな発見 
2.発見の具体的な内容 
3.白雪姫運動のメインテーマ①(介護者の気付きに関する) 
4.白雪姫運動のメインテーマ②(寝たきりとなっておられる方へのリハ                 ビリ介入に関する) 
5.遅発性ロックトインの発見を妨げる様々な理由 
6.意識回復の証明は容易でない 
7.家人(近親者)の生きがいとベッドサイドでの介入に関して 
8.発症後半年以上を経過した後のリハビリ(拘縮予防と拘縮解除)の重要  性  
9.山元さん紙屋さん合同講演会(1000人集会)の総社での開催に関して 
10.まとめ 


・・・・・
6.意識回復の証明は容易でない・・・から


白雪姫プロジェクトは、決して、遷延性意識障害と診断された方への積極的、かつ、持続的な介入を誰かに義務付け、依頼すべきであるといった強制や抗議のための運動ではなく、
また、意識が人知れず回復していたことを根拠としてその方のそれまでの看護・介護レベルを非難するための運動でもない。


本プロジェクトは、脳に受けた重大な傷害故に、今現在、寝たきりとなっている人のために、常に近くに寄り添っている家人や身近な人が、
絶望する(周囲からは絶望させる)以外に何ができるかを考える運動であり、その一環として、
「介護者自らが介入することで変化し得る」
「実際に様々な介入によって変化している方がおられる」
という事例を広く伝えることで、
今後の「思いの持ち方」や、「介護の参考」としていただきたい、
という運動である。
家人や身近な方が日々求めているのは、
必ずしも元の状態への完全な復帰ばかりではなく、
たとえ細やかであっても何等かの変化を発見すること、
あるいは、本人が何等かの思いを抱いて生きていると思えること、
または、それに気づけることがその後の生きがいとなる場合がある。


急性期ではなく、発症後、長年にわたって意思疎通が不能となり、
絶望視されている家人にとって、
「まだ諦めることはない、なんらかの変化が期待できる」
という事実を伝えることには大きな意義がある。
急性期病院での、(目の前に迫った死を受容できるように、
あるいは、過度の期待を抱くことで落胆しないようにとの思いから発した)家人の絶望を促す説明が成されて以来、
すでに"わずかな変化を求めること"さえ諦めておられる方、
現状(急性期から慢性期と称される発症から半年間の、現時点で常識とされる医療情報のみ)では悲嘆に暮れるしかないという、
いわば絶望状態がその後も長年にわたり持続している家人(または、身近な方)の、
「今の心のありよう」や「生きがい」を、
可能な範囲で応援、支援することを目指す運動である。


9.山元さん紙屋さん合同講演会(1000人集会)の総社での開催に関して・・・では

 
総社市で開業されている長谷敏明医師(講演会実行委員長)は開会挨拶にて、
「宮田俊也さんのような重症例の意識回復やリハビリによる機能改善は奇跡であろうと思っていたが、
昨年、紙屋先生の講演を聞き、宮田さんの回復が奇跡ではなかったというこれまでの(自らの)無知を知りました。
総社で挙げた灯火が全国に広がっていくことを願っています。」
との開催への思いを述べられた。


次いで、片岡聡 総社市長は、障害を持つ方の長年の孤独に触れ、
「わたしたちの身代わりとなってくださっている(に違いない)重い障害を背負った全市民のおよそ3%の方々へ、
残りの97%の健常な市民が全力で"尽くしているかどうか"、で市政の品格(quality)を計ることができる。
総社市では、障害者就業率向上への挑戦、障害者1000人就業の実現を目指しています。」と語られた。


身近な方や一部のマスコミからは、
「この不景気の中、絶対に不可能だから(そのような無謀な挑戦は)止めておいた方がよい」
との助言(提言)を受けたが、
「当初100人台であった就業障害者数が運動開始後の数年で500人を超えており、あと数年での目標達成を目指している。
総社市において(も)障害者1000人就業の実現が不可能ではないことを全国に証明する」
との意気込みを語られた。


「あたなは私だったかも知れないし、
私はもしかしたら庭に咲くたんぽぽや降る雪だったかもしれないね。・・・花がそこに咲くことは、それが大切だという証、
わたしがここにあることはそれが必要だという証」
と般若心経の一節を心訳された山元加津子さんと、


植物状態とみなされた患者さんに日々付き添われる家族の切実な思いに触れてより、
看護(介護)者にできることを見つめ続け、
今も尚、意識の回復がないと思われている方々へのリハビリ技術の普及を含めた看護教育に多大な貢献をされている、
紙屋克子さんとの合同講演会が、


前述のごとく、自らの無知への反省から、
白雪姫プロジェクトの1000人規模での啓蒙を目指した志ある医師と、
社会から置き去りにされたかに思われる重い障害を持つ方を支えることで品格ある市政の実現を目指す気高い市長という両雄を配する総社の地で、
(千人は集まらないであろうという多くの予想を裏切って)
華々しく開催されたことは決して偶然とは思えない。


開催まであと数か月と迫った準備期間において、
「人がより集まりやすい都会の地へ変更しては」
との長谷実行委員長からの申し出を
「(あなた方がおられるという聖地)総社でやることに意味があるのです」と、
山元加津子さんはどこまでも総社での開催を応援し続けたとのこと。


2012年12月8日の当日は、予想を上回る極寒日となったが、
キャンセル待ち、立ち見席を要する盛況となり、スタッフとして働いた総社の人々は、
総社市民会館とその周辺を日本一熱くした。

10.まとめ・・・です。
 

「一生植物状態です」、との宣告を受けられた方で、今現在、様々な合併所を乗り越えて、半年以上の長期生存を果たそうとされている方、
すでに果たされている方、かつ、決して諦めたくはないが諦めるしかないと思っている家人(身近に付き添われている方、または、施設のスタッフ)へ、このプロジェクトが持つ、
「覚悟と責任を持ってことに当たれば何かが変化する可能性はいつでも誰にでもある」
「決して諦めなくてよく、目の前にいる(彼/彼女が大好きな)あなたが取り組めばよい」
というメッセージを届けたい。


以上、共感力(思いと思いを結びつける、または繋がる力)の強い山元加津子さんが全国へ広めようとされている白雪姫プロジェクトの個人的、左脳的解釈です。
私は以前より、宮田俊也さんを遠くから応援していますが、
総社で行われた合同講演会に参加することで得られた情報が数多く含まれています。
この場合の左脳とは、山元さんが感じる共感力を解釈し、説明するための道具です。


脳は「意識」を運ぶものと考えられていますが、いわゆる「意識」ではなく、誰でもが持ってはいるが、
必ずしもその力が弱かったり、またはその存在に気付けない時もある、
「共感力」こそが脳、または、命の本質ではないかと思います。


山元さん(かっこちゃん)が誰かと繋がる時、
相手の意識レベルや道具の存在は全く考慮されていません。
彼女の持つ強い「共感力」は、
人と人が必ず繋がれるということを示しています。