「真砂女」

劇団朋友公演の「真砂女」を観てきました。
演劇鑑賞会、妹がチケットの世話をしてくれて、
「明日だから忘れないで!」
といつも電話をかけてくれるので、続けられます。


       ・罪障の ふかき寒梅 濃かりけり

         
       ・今生の いまが倖せ 衣被(きぬかつぎ)




あらすじ
   
恋に生き、恋の句を詠み続け、
96歳でその生が燃え尽きるまで、波乱の人生を俳句と共に
しなやかに生き抜いた女流俳人鈴木真砂女の半生を綴る。
       ・足袋を脱ぐ 足のほてりや 花疲れ
       ・夏帯や 運切りひらき 切りひらき
などなど、世間常識より恋愛優先の生き方を選んだ女性。
千葉県鴨川市の老舗旅館(現鴨川グランドホテル)の三女に生まれ、靴問屋の次男と大恋愛の末に結婚するも夫が失踪。
実家に戻り、姉の急死で義兄と無理やり再婚させられて旅館の女将に。
が、翌年、宿泊した妻子持ちの海軍士官と熱烈な恋に落ちる。
そして…。

出演     藤真利子 本山可久子 谷昌樹 
       小島敏彦 菅原チネ子 まきのかずこ 
       進藤忠 山口晴記 ほか

スタッフ   脚本:瀬戸口郁
       演出:西川信廣
       美術:朝倉 摂


鈴木真砂女

その後旅館からも追い出され銀座で小料理店「卯波」の女将となる。
この時50歳。
それから40年あまり俳句とともに生き、たくさんの恋の句を詠み続けました。
久保田万太郎丹羽文雄といった一流文化人やサラリーマンも訪れたということです。

明治、大正、昭和、平成と移り変わる時代を生きた波乱万丈のまさを演じたのは藤真利子さん、久しぶりでした。
靴問屋の次男との間に生まれた一女が、
芝居の「語り」で出演されている文学座の本山可久子さん。
娘が語る母の一生。
この作品に登場するその他の俳句から

   ・ある時は 船より高き 卯波かな

   ・ふるさとを 野火に追はるごとく出でし

   ・誰よりも この人が好き 枯草に

   ・かのことは 夢まぼろしか 秋の蝶

   ・鴨引くや 人生うしろ ふりむくな
      
   ・隠しごと 親子にもあり 桜餅 


「結婚していても好きになったものはしょうがないじゃないの」
と娘に言う真砂女さん。
愛し方も、生き方も熱い、女の一生に魅せられました。