虹の架け橋

梨の花


りんごの花


トンネル開通のために橋が架かるまで、
近くで見たことがありませんでした。


上流にある川向いは農地ばかりで、近くて遠い遠い場所、
ここからだと一度下流の橋をわたり、逆戻りしなければ行けません。
今では歩いて10分で行けますが、
それまでは一度も行ったことはありませんでした。


郁代が亡くなった翌春、トンネルは開通しました。


家の近くからみた、山側環状の「崎浦涌波トンネル」(三つ目トンネル)


浅野川をはさんで向かい側、三つ目トンネル内には歩道があり、
本線の入口が、すぐ横に広がる梨畑と接しています。

白いじゅうたん・・・満開の頃


開通の前年、工事中の「三つ目トンネル」が郁代の部屋からも見えました。
新しい街が生まれようとしていました。
完成したら、
トンネルの向こうへ行ってみたいと誰しもが思うものでしょう。
「来年春の開通、もうすぐだね」
小松空港まで、ぐっと近くなるね」
そんな会話を、どんなに家族と一緒に交わしたかったでしょう。


家族は誰も「トンネルの開通」を話題にしませんでした。
病魔は開通の春を待ってはくれなかったのです。


新しく架けられた“田上大橋”は、
花畑へとつながる「虹の架け橋」となり、
春になると、毎年郁代が待っていてくれるようになりました。
こんなにうれしいサプライズを、郁代仏が用意してくれていたとは驚きです。
     

        「日本唯一の三つ目トンネル」   
                金沢「山側環状」4月15日開通
金沢外環状道路山側幹線(通称・山側環状)は十五日、金沢市今町と白山市乾町を結ぶ計二十六・四キロが全線開通する。
工事の中でも、小立野台地の下を抜ける崎浦涌波トンネルは、
本線のトンネル二本の上に連絡道のトンネル一本が造られた、
「日本唯一の三つ目トンネル」となっている。          
               (2006年4月12日のニュースから)