「あっ、テントウムシ!」
どんな小さな虫もみつける、ミクちゃんは不思議な女の子


    虹   
              まど・みちお
  
  
  
 

  ほんとうは
  こんな 汚れた空に
  出て下さるはずなど ないのだった
  
 
  もしも ここに
  汚したちょうほんにんの
  人間だけしか住んでいないのだったら
  

  でも ここには
  何も知らない ほかの生き物たちが
  なんちょう なんおく 暮らしている

  
  どうして こんなに汚れたのだろうと
  いぶかしげに
  自分たちの空を 見あげながら

  
  そのあどけない目を
  ほんの少しでも くもらせたくないために
  ただそれだけのために
  虹は 出て下さっているのだ
  あんなにひっそりと きょうも