生まれたてを見てきた人びとの喜び

友人たちへのお別れの旅、
ドクターストップをかけようか・・・
医師が前日まで迷った郁代のオーストラリア訪問。
後で手帳をみると、「ウルル」まで出かけていたのです。
でもその日は気温が40度と高く、登山禁止の表示が出て登れませんでした。



郁代を訪ねる旅で 私も登れませんでした。(2010年12月)


郁代の部屋に遺されていた本
「アボリジニの教え」によって、
「ウルル」がアボリジニの聖地だったことを私は知りました。


「聖地とはね、
世界の創造の祖先たちによって清められ、
精力を与えられた地球の強いエネルギースポットなの。
すべての生き物に、平和を保って維持し続ける強いパワーを与えてくれる場所なんだよ」 (本の帯より)
  

 「この地球上にあった小さなもの、誕生間もないもの。
例えば小さな花、種から伸びた草、羽の生えたての鳥、子馬、子牛たち。
それはそれはとても可愛らしく、一歩ずつの感動があって、
最高の遊び仲間だったんだ。
今では、それら動物も植物も、すっかり大きく成長したよ。
でも、我々アボリジニには、
それらがまだ小さかった頃の記憶は残っているんだ。


なぜならば、我々は、
人生の中でその様子と感動を若い者たちへ語り伝えていく義務があるんだ。
だから、生まれたてを見てきた人びとの喜びは、
我々にも喜びとしてハートに染み込んでいるんだ。
まだ若かった頃の地球のことを我々アボリジニが今でも憶えているのは、
つまり永遠に言葉で語り継がれてきているからなのさ」
イミャーがいった。
アボリジニの教え」  p186より


郁代は、
「すべての生き物に、
平和を保って維持し続ける強いパワーを与えてくれる場所」に、
友人の朝日さんに抱かれて登ったのでした。

(亡くなったその年 2005年12月)