思い出めぐり

「本当にお父さん(ご主人)も家族みんなも最期までよい時間を過ごせました 。
『あなたにあえてよかった』の本に出会えたからこそです。
本当にありがとうございます」
と手紙をくださったHさんが、
郁ちゃんにお参りしたいと、7年ぶりに友人と一緒に京都から訪ねてくださいました。

私たちと一緒にHさんご夫婦で歩いた、思い出のスポットめぐりをしました。
今回は雪の兼六園、前回は春でしたが。

浅野川河畔 
梅の橋から上流方向に「天神橋」 文学作品によく出てきます。

河畔には泉鏡花出世作「義血侠血」のヒロイン・滝の白糸の姿をかたどった像が建っています。
『水』と表示したところに手を当てると、水が出て水芸が始まります。

滝の白糸碑


このあと「ひがし茶屋街」メインストリートに出ました。


宿泊したホテル前の通りも歩き、ご主人との思い出に浸っておられました。

自営業の工場の仕事一筋で、奥さんを振り向くこともなく、
ご夫婦での旅行など一度もしたことがなかった・・・
Hさんに諸々の不満が募り離婚を考えている時に、ご主人が発病しました。

一転、Hさんにご主人への感謝と後悔の念が一気にあふれました。

思い出通りを歩きながら
「医療関係の本を読み漁っている時、
TSUTAYAで『あなたにあえて・・・』が目に入り、夢中で読んだの。
見ず知らずの郁ちゃんのお母さん(作者)に宛ててすぐ手紙を出したところ、
とても丁寧なお返事が届いて本当にうれしかった・・・」
と話されました。

夫婦で金沢へお別れの旅をしよう・・・
郁代のお別れの旅に心を動かされ、ご結婚以来初めての旅でした。
我々夫婦と2日間過ごし
夜は我が家の近くの温泉へ男同士女同士で入りました。

「郁代は病気だけを相手にするのではなく、
残された大切な時間に、やりたいことをして、
自分らしい時間を過ごそうとしました」
とその時話させて頂いたのですが、
Hさんのご主人は、
自分が大切に守ってこられた工場に最期の二日前まで出勤されたそうです。

その間、ご家族の心がひとつになって、食事をしたり旅行をしたり、
ご主人との思い出の時間を持たれたのでしたね。




郁ちゃん
あなたが家族と最後に訪れ、ビッキーと楽しく遊んだ思い出の場所『卯辰山花菖蒲園』
その時は案内しましたが今回季節は冬、雪のため行きませんでした。

でもね、郁ちゃんが予約し、見舞いに来られた恋人と家族で最後の食事会をした鍋料理店で、Hさんたちと夕食を頂きましたよ。

郁ちゃんはあの時なにも食べれない状態だったので、
鍋ならお汁を飲めると思ったのでしょうね。
浅野川大橋を渡って東茶屋街の反対側、
主計町茶屋街にある『太郎』は創業から60年の鍋専門店、
冬のこの季節、おいしいお魚たっぷりで身も心も温まりました。

私が行けなかった2日目は、友人と金沢21世紀美術館で2時間たっぷり遊び、
近江町市場や尾山神社武家屋敷めぐりを楽しんだようでした。

それにしてもHさん、
仕事に行くときも、どこへ旅行するときも(勿論今回も)、
いつもカバンの中に、『あなたにあえて・・・』が入っているそうで、
「かなり擦り切れてきた」とか。
いつでも開いては繰り返し読んでいるとお聞きし、びっくりしました。

思うにこの本はHさんにとって、
ご主人との思い出そのものなのでしょうか。

前日までサンダーバードはストップしたり、今日からも雪情報なのに、
昨日までの3日間、
Hさんの思い出の旅は信じられないくらいの快晴でした。

郁ちゃんはさすがだねえ〜