今してることだけ 終わらすんや

こんなにたくさんの仕事やれるかなあと心配になる時、
いつも大ちゃんの言葉に励まされています。

   絶対にできないと 思うから
   今してることだけ 終わらすんや


これまでにも何回か取り上げた、
山元加津子先生のかけがえのない友達のひとり、
「大ちゃん」のおはなしです。

はじめは気持ちが通じ合えなかったふたりが、仲良くなり、
そして大好きどうしになって、やがて心が通い合うようになっていきます。
山元先生の心温まるお話と大ちゃんの素敵な詩がきっと皆さんの心にも届くでしょう。


大ちゃんといっしょに買い物をしていたときのことです。
ある方がこう言われました。

「こういう子らは箱折りとかの単純作業やらせると誰もかなわんからねえ。
大ちゃんもそういう仕事につくのがいいかもしれん」

その方と別れてずっと時間がたってから大ちゃんが作った詩です。

 こんなに たくさんの 仕事は
 絶対に できないと 思うから
 今してることだけ 終わらすんや
 次してることも 終って
 そうして そうして くらしていると
 大きな仕事も 終っているんや

大ちゃんは誰かが質問をしたとき、すぐそのことについて話さないことがあります。そんなとき、
「質問がむつかしかったのかな」とか
「大ちゃんは何も考えていないのだろう」
とか思われてしまうことが多いのです。

質問をした方もすっかり忘れてしまっていた頃に、
大ちゃんはそのことについて話をします。
もう何について質問したかということさえ忘れられていて、
「大ちゃんは何をとんちんかんなこと言ってるの」
って思われてしまうこともあるんです。

しかし、大ちゃんは、本当はどうなのかをずっと心の中で考えているんです。
急いで間違ったことを言わないように、言葉を選びながら・・・・・・。

「単純作業はこの子らにかなうものはおらんから」
についてずっと考えていたんでしょう。

たくさんの先の見えない仕事は誰にとっても、
やっぱりとってもつらいことなんですよね。
でも大ちゃんはどうやってそれに取り組んだらいいのかという、
大事なことを知っているんです。

大ちゃんは、この「仕事」の詩とも関係あるような、
「時」についての詩もつくっています。

  一日 くらしたら
 一日 すぎる
 朝になって 夜になって
 朝になって 夜になって
 だんだん だんだん
 苦しいこともうすくなる

大ちゃんの詩が読めます。