『土徳』がある

南砺市福光の「ぬくもりの郷」のすぐ近くには光徳寺があります。

文明3年(1471年)に建立された500年以上の歴史をもつ真宗寺院で、
蓮如上人の直筆類や法宝物を所蔵しています。

また、昭和20年から6年あまり同寺やその檀家に疎開し創作活動を行った、
板画家棟方志功の所蔵品があることでも有名です。

現在地方紙に連載中の「リーチ先生」、
まさに登場中の柳宗悦バーナード・リーチ棟方志功を訪れていて、
作品も多く残っています。

9月に訪れた五箇山 赤尾の道宗のお寺へは、
光徳寺から50分ほどで行けるのです。

ここにも、柳宗悦バーナード・リーチが訪れていて、
陶器や書の掛け軸などが残っていました。

当時の砺波平野や五箇山を訪れた際、
柳宗悦「ここには『土徳』がある」 と言われたことが、
言い伝えられています。

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この頃の棟方の作品の変化に驚いたのが、民藝運動をリードしていた柳宗悦
柳にとって、それまでは荒々しくも我執の強い作風だった棟方の絵から、
我による濁りが消えたと感じた。

作風の変化に強い影響を及ぼしたのは、
福光に何百年も受け継がれている風土や空気であると考え、
柳宗悦はそれを“土徳”と呼んだ。
柳の造語であるが、浄土真宗の“他力本願”という思想とも深く共鳴する。

「他力とは、自分で切り開くのではなく、
なにもかもが阿弥陀様にいただいたもの。
あらゆるものに感謝して生きていくという教えです。
南砺市・ 福光は当時から真宗王国です。
お念仏に生きた集団がいて、
そのような風土と触れあい、感動されたようです。
”用の美”を唱える民藝は、
そのような浄土真宗の教えと合致するところがありました」
と光徳寺の高坂道人さんは言う。
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