自然法爾
写真でかよさんのじいちゃんにお会いしたら、
鈴木大拙が晩年たどりついた「自然法爾(じねんほうに)」が浮かんできました。
鈴木大拙『妙好人』(法藏館)に、改めて出会わせていただきました。
☆ 浅原才市の次の偈に、大拙は還相廻向を観ます。
よろこびを、まかせるひとわ、なむの二じ。
われが、よろこびや、なむがをる。
才市やどんとこ、はたらくばかり。
いまわ、あなたに、くをとられ、
はたらくみこそ、なむあみだぶつ。
らくもこれ、よろこびもこれ、さとるもこれ。
らくらくと、らくこそらくで、
うきよをすごすよ。
☆ 森ヒナさんとの出会い
鈴木大拙が北陸のこのお婆ちゃんに是非会いたいといって、
出会いが成立しました。
ヒナさん
『わが機、ながめりや、あいそもつきる、
わがみながらも、いやになる。ああ、はづかしや、なむあみだぶつ』
『いやになるやうな、ざまたれ、ばばに、
ついてはなれぬ、おやござる。ああ、ありがたい、なむあみだぶつ』
自分では文字が書けぬので、我が子に書いて貰っています。
ヒナさんは、いやになるよな煩悩だらけのザマタレ婆であると歌っていますが、
その歌を取り上げて、
大拙師
「わが身ながらもいやになると書いてあるが、
これあんたの煩悩やろ。この煩悩、半分わしに分けてくれんか?」
ヒナさん
「いや、あげられん」
大拙師
「なんでや?あいそもつきるような煩悩なら分けてくれんか?」
ヒナさん
「いや、これは分けられん」
押し問答の末、ヒナさん
「この煩悩あればこそ、
この煩悩照らされて(如来さんというはたらきに)であえたんや」
大拙師
「そうやったな、
儂もおばあちゃんの二倍も三倍も煩悩もっとるさかい、
お互い、この煩悩大切に生きていこうな」