兎追いし かの山

震災後、よく歌われる『故郷』

♪兎追いし かの山 
 小鮒釣りし かの川
 夢は今も巡りて
 忘れ難き故郷

兎追いは、自然豊かな山村の冬季間の村総出の行事でした。
子どもたちなりの食糧確保の手伝いの情景でした。
「かんじき」をはいて、雪山を歩いてうさぎを追い立てます。

野ウサギは夏毛が褐色、雪のよく降る北陸などでは冬毛は真っ白になります。
姿は白い保護色ですが、雪山では足跡が残り、通り道がわかるのです。

“兎追い”わたし知ってる!
なぜか急に思い出したのです。

むか〜しむかし、私が最初に赴任した医王山麓の学校では、
年に一度村総出の行事として“兎追い”がありました。
小学高学年以上が大人に交じり参加するのです。

傾斜地で追うと必ず上方に向かって逃げます。
そこで、ウサギを追うときには、ウサギの縄張り近くの斜面を利用します。
逃げ道を塞ぐ形で一列になって追いかけ、
上方で待っていた一列が行く手をさらに遮ると、
ウサギは仕方なく下方に移動します。

あわてて後ろ足で強く蹴りバランスを崩してしまいます。
追い上げたり追い下げたりを繰り返し、
疲労でうずくまったウサギを捕まえるのです。

昔は野ウサギは山を荒らす害獣とされていたので、
子どもたちは喜んで兎追いのお手伝いをしました。

その夜は、各家庭でウサギ鍋を囲んだのではないでしょうか。