〈折々のことば〉 51
朝日新聞朝刊1面で、
4月1日から「折々のことば」の連載が始まりましたね。
筆者の鷲田清一さんは、大阪大総長などを歴任した哲学者で、
古来の金言からツイッターのつぶやきまで、
様々なことばを紹介しながら、思索をつづっています。
鷲田さんは言います。
「僕にとって『ことば』は、
今までとは違う自分に変わるための、手がかりです。
私の人生は、こういうもの、社会って、こういうこと−−。
誰しもそんな風に、自分なりのものの見方を持っていると思います。
でも、もしかしたら全く違う見方が、あるのかもしれません。
それに気づくきっかけになるのが、ことばです」
〈折々のことば〉 51 鷲田清一
みずからの中の偉大なものの小ささを感ずることのできない者は、
他人の中の小さいものの偉大さを見すごしやすい。
岡倉天心
品格、教養、有徳、勇気、美意識……。
いずれも称賛すべきものではあるが、そういう偉大さも、
その陰で、あるいは縁の下で、
その人のために、食事を用意し、掃除をしている人たちの
沈黙の行為がなければ何ものでもない。
このことを知り尽くしているか否かに、その「大きさ」はかかっている。
「茶の本」(桶谷秀昭訳)から。
2015.5.22