「父と暮らせば」

金沢市民劇場例会で、こまつ座「父と暮らせば」を観ました。
   作 :井上ひさし
   演出:鵜山仁
   出演:辻萬長  栗田桃子

「うちはしあわせになってはいけんのじゃ」
 一人静かに暮らす美津江の前に、突然として父・竹造があらわれる。
 井上戯曲の最高傑作。
地獄の中から生まれる真実の親子の物語。

生き地獄のヒロシマ・・・その現場に居合わせているような熱演で、
休憩なしの1時間半はあっという間に終わりました。
亡くなった人達の無念が迫ってきて、
終わった後、涙目の皆さんが無言で会場を出られるのでした。

被爆者たちは、
核の存在から逃れることのできない二十世紀後半の世界中の人間を代表して、
地獄の火で焼かれたのだ――井上ひさし

人間はどんな絶望の中においても生き抜かなければならない。
今から70年前の夏、ヒロシマに投下された原子爆弾
残された膨大な被爆者の手記の中から編まれた今こそ語り継ぎたい井上戯曲。
生き地獄のヒロシマを舞台に繰り広げられる父と娘の優しくも壮絶な命の会話を通して
平和の尊さを後世に語り継ぐこまつ座渾身の作品。

2008年から栗田桃子の娘・美津江と辻萬長の父・竹造で数々の賞に輝き、
演出家・鵜山仁が希望への祈りを込めて、幸せとは何か、
平和な日常を取り戻すとは何かを問う。


*『母と暮せば』(山田洋次・監督/2015年冬公開予定)