玉三郎の阿古屋

同窓会の翌朝、東京組と別れた七尾組は昔を思い出し修学旅行です。

午前はスカイツリーからの展望を楽しみました。
集合写真を撮るときのカメラマン曰く、
「ム・サ・シ(634m)と言ってくださいね!」

高校を卒業した年の“あの頃の世相”には、
「東京タワー完成」(1958年竣工・333m)の文字がありました。
あれから○十年・・・

新歌舞伎座では夜の部を観ました。

一、「壇浦兜軍記」(だんのうらかぶとぐんき)
     阿古屋

前から3列目、花道のすぐ横の席で、
目の前を玉三郎の阿古屋がしずしずと進みます。
この感動はずっと忘れないでしょう。

壇浦兜軍記 阿古屋 4

五条坂の遊君、坂東玉三郎の阿古屋は、
平家の残党景清を恋人に持ちながら、行方は知らぬと言い張る。
鎌倉幕府の代官、菊之助の重忠は彼女を堀川御所に召し出し、
琴、三味線、胡弓を演奏させる。
音色を聞けば、嘘をついているか否かが分かる。

 玉三郎はこのうえ疑うならいっそ殺せと、
白洲梯子に身を投げ出す姿が美しい。
それ以上に三曲を演奏する姿に魅せられました。

 演奏それ自体の見事さは言うまでもないのですが、
しかし阿古屋が奏でているのは実は自身の心。
琴を弾きつつふと遠くを見る目にさすらう景清が浮かんでいる。
音楽を演奏するとは、それは命を懸けて人を恋うことに他ならない、
と思わされました。

二、梅雨小袖昔八丈〜髪結新三

ほととぎす、初鰹、梅雨空・・・・・・。
季節感あふれる江戸下町の風物詩に
浮かび上る小町娘、小悪党、博徒の影。

主人公は家々を廻って髪を結う廻り髪結いの新三。
優男の手代を手玉にとり、町で評判の材木屋の娘をかどわかし、
土地の親分の出鼻をくじいて悦にいった新三だったが、
数枚上手の家主の強談判に手もなく降参。
面目を潰された親分は脇差を手に新三を待ちぶせる。


歌舞伎を観た翌日は“江戸たてもの館”を見学し、2泊3日新幹線の旅は終わりました。