雪は天から送られた手紙である

今日も雪、あなたからの手紙が届くと思うとわくわく(?)します。
あの日から雪は、冷たいものではなく、
暖かいものに変わりました。

郁ちゃん あなたも行ったことありますね。

「中谷宇吉郎 雪の科学館」
  
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雪は天から送られた手紙

夜になって風がなく気温が零下十五度位になった時に静かに降り出す雪は
特に美しかった。
真暗なヴェランダに出て懐中電燈を空に向けて見ると、
底なしの暗い空の奥から、 数知れぬ白い粉が後から後からと無限に続いて落ちて来る。
それが大体きまった大きさの螺旋形を描きながら舞って来るのである。
そして大部分のものはキラキラと電燈の光に輝いて、
結晶面の完全な発達を知らせてくれる。
何時までも舞い落ちて来る雪を仰いでいると、
いつの間にか自分の身体が静かに空へ浮き上がって行くような錯覚が起きてくる。
               
                   中谷宇吉郎「冬の華/雪雑記」より

この詩情あふれる言葉をのこした中谷宇吉郎(1900−62)は、
石川県加賀市出身で、雪の美しさに魅せられ、
北海道大学で世界で初めて人工的に雪の結晶を作り出した科学者です。
雪や氷に関する科学の分野を次々に開拓し、
その活躍の場はグリーンランドなど世界各地に広がりました。

趣味もはば広く、絵をよく描き、
とくに随筆では日常身辺の話題から科学の解説まで、
はば広いテーマで多くの著作を世に送り出しました。
また、「霜の花」など映画作品も多く、
科学映画の草分けとしても知られています。
中谷宇吉郎雪の科学館」は、中谷博士の多面的な業績を中心に、
雪氷学のその後の発展も含めて、
実験・観察装置も使ってわかりやすく展示公開しています。