壁と卵

村上春樹エルサレム賞の受賞スピーチが公開されていますね。


「それでも私は最終的に熟慮の末、ここに来ることを決意しました。気持ちが固まった理由の一つは、あまりに多くの人が止めたほうがいいと私に忠告したからです。他の多くの小説家たちと同じように、私もまたやりなさいといわれたことのちょうど反対のことがしたくなるのです。私は遠く距離を保っていることよりも、ここに来ることを選びました。自分の眼で見ることを選びました。」



「高く堅牢な壁とそれにぶつかって砕ける卵の間で、私はどんな場合でも卵の側につきます。そうです。壁がどれほど正しくても、卵がどれほど間違っていても、私は卵の味方です。」



郁代は学生時代に「ノルウエィの森」を、
病気が進んだ頃には、発刊されたばかりの「アフターダーク」を読んでいました。

限られた時間の中で、不条理という目に見えない壁に懸命に向き合い、
命を輝かせ続けました。


私は今、郁代が遺していった「アフターダーク」を読み終えました。


郁代はいろんな姿をして、私に会いに来てくれるんだなあと思わずにはいられません。
あ、それから・・・村上春樹ワールドに案内してくれて有り難う。



「雨水」(うすい)が過ぎたというのに、外は雪景色なのです。


        
            家の前の桐の木