さびしいときは心のかぜです

 さびしいときは心のかぜです。
 せきして、はなかんで
 やさしくして ねてたら
 1日でなおる


これは大ちゃんこと「原田大助」くんがつくった最初の詩です。

ある日、私は病気で元気のない友達になんにもできないことを悩んでいました。すると「山もっちゃん、どうした?」と大ちゃんが聞きました。ちょうどそのころから、私のことを大ちゃんは「山元先生」ではなく「山もっちゃん」と呼ぶようになっていました。


「友達が病気で元気がないの」と答えると、大ちゃんは、
「さびしいときは心のかぜです」と言いました。
あんまりそのことばが素敵だったので、近くにあった紙に書き留めると、大ちゃんはつづけて、
「せきして、はなかんで やさしくして ねてたら 1日でなおる」
と言いました。
そのことばも書き留めていると、大ちゃんが、「俺も書くわ」と言いました。

大ちゃんが書いた字をコピー機で縮小してはがきにし友達に送ると、
その友達はとても喜んでくれて本当に元気になりました。


「大ちゃんすごいね、大ちゃんのはがきは、読む人を元気にするね」というと
「元気になってよかった」
「はがきをつくるとうれしいか?」と聞いてきました。
「うれしい」と答えると、
「山もっちゃんがうれしいなら、僕はもっともっとはがきを作るわ」と言って、
それから大ちゃんは素敵な詩や絵をたくさん書くようになりました。



 星の光が 見える
 星と僕は 知らないもの同志やけど
 僕の心を 動かす力を持ってるんやな


星の話をしていたとき、大ちゃんがこんな素敵な詩をつくりました。



それから「ある」ということについていろいろと考えて2つの詩をつくりました。



 葉っぱだって 石ころだって
 そこにあるだけで
 心を動かす力がある。
 それが”ある”ということなんかな



 僕だってそこに”ある”
 ”ある”ものはみんな大切なんや



大ちゃんは自分が「ある」ということについて、こんな詩もつくっています。



 僕が生まれたのには 理由がある
 生まれるってことには みんな理由があるんや



 僕は僕やから、
 大切にできる。
 僕は僕やから
 がんばれる。
 僕が僕やから
 好きになれる。


                   (山元加津子さんの言葉より)


さびしいときは心のかぜです

さびしいときは心のかぜです


十年以上前にこの本に出会ったときの感動を、私は忘れることができません。