「爛漫」

今、金沢では「現代美術展」が開かれています。
一般からの応募作品の他に、同展ゆかりの先輩諸氏による委嘱作品も鑑賞できるのが魅力なのです。


会場に入ってすぐ私を迎えてくれたのは「爛漫」。

金沢市出身、日本芸術院会員村田省蔵氏の作品でした。
画面いっぱいにさくら色に染まった山々。吉野山の桜でしょうか。


しばらくはその場を動けませんでした。


満開の桜の中で、郁代がほほえんでいたのです。
「私はここにいるよ」
うれし涙がこぼれました。


ああ、諸仏となった郁代は、
光り輝く「爛漫」の世界にいたのでした。


郁代に会えた喜びで胸がいっぱいになりました。



郁代は大学卒業後しばらく旅行社に勤務していて、
地元新聞社の記念事業としての、著名人参加のヨーロッパ旅行に、
添乗したことがありました。
その時に村田省蔵氏とも親しくして頂き、旅行後にも
「先日はおハガキありがとうございます。スペインの感動をどう表現しようかと考えています。金沢でまたお目にかかります」
とのお葉書きまで頂いたのでした。
お葉書に添えられていた「闘牛士のスケッチ」は今も大切に飾ってあります



「爛漫」は、郁代と私へのプレゼントのような気がしました。


今までは、桜は辛い思い出とともにありましたが、
これからは桜が咲くと、「爛漫」の世界にいる郁代に会えるのです。
うれしくてなりません。
 

今日、兼六園は満開です。
「爛漫」の桜のトンネルを郁代と手をつないでくぐってきました。



               曲水通りのさくら


    お堀通り満開の桜     兼六園HP