「ありがとうございます」

食事がおいしいと、「郁代、ごめんね」と言いたくなります。


何ヶ月も食べれなくて、水も飲めなくなって、どんなに辛かったでしょう。
この辛さはどんなだろうと、一度私は絶食してみたけれど、
3日目にはフラフラになりました。
郁代の病状に合わせ、そのうちわたしの食欲がなくなってきた時は、頑張って食べるようにしました。
私が倒れたら介護が出来なくなるからです。


よく眠れた日も、「ごめんね」という気持ちでいっぱいになります。


体のあちこちが痛くて、又これからのことを考えると不安で、
郁代はよく眠れない日が多かったからです。
ぐっすり眠れる日が1日でも訪れるよう、私はどんなに願ったでしょう。


「今日もおいしい食事ありがとうございます」
「よく眠れてありがとうございます」
と感謝しながら、
やっぱり「ごめんね」と言わないではいられません。