犬麻呂と綽空(七) 

郁代のお墓をぐるっと囲んで「ドウダン(満点星)つつじ」が植えてあります。
白いかわいい花が満開です。さわやかな風が吹いていました。


   






犬麻呂と綽空(七)         親鸞 221    五木寛之

「いまのサヨどのの言葉、骨身に徹しておききしました。
法然上人の門弟にくわえていただき
専修念仏に帰依したことで、いつしか思いあがった気持ちになっていた自分がはずかしい。鹿野という娘だけではない。
わたしをかばって命をおとした人もいたのだ。
幼い弟たちもすてたし、慈円さまや師の音覚法印さまの期待を裏切ってお山も降りた。
なにもかも、煩悩熾盛(ぼんのう しじょう)の我が身ゆえだ。
今後は十悪五逆の悪人さえも往生できるという法然上人の教えを一筋に信じて、念仏に生きるしかない。
ああ、ながくお山にいて気づかなかった己の心を、ここでこうして教えられるとは」