衝撃

ジョークを交えての楽しいメールのやりとり。


2004年10月12日

「Sちゃんはもう7才か。早いね。
私も今月末にオーストラリア滞在9年目に突入します。

この間免許を取ったこと報告したけど、
免許を取ったら車も欲しくなって、
先週小さい車を買いました。
来週デリバリーです。
安全運転を心がけるので、ご心配なく。

お母さんが次にオーストラリアに来る時は、
色んなところにドライブに行きましょう。    いくよ」


郁代よりがん再発の電話があったのは、
このすぐ後の2004年10月27日の夜でした。
郁代の絶望、衝撃を思い、私は一睡も出来ませんでした。

そして翌28日には、こんなメールが。
親に心配させまいとの気持ちが痛いほど伝わってきました。


「お母さん、昨日はショックを与えてごめんね。
私はまだ実感がわかずけろりとしていて、
昨夜も八時間ぐっすり眠れました。
結構しぶといなあと自分でも思います。
転移があったのは、下腹部のリンパ節だそうです。
特に痛みはないんだけど、放っておくと、
そこのしこりが大きくなったり、
体の他の場所にも広がっていくようです。
こちらの先生は、対処療法として、
抗がん剤療法(TS1以外)がいいのではと言っていました」


けろりとしているはずがない。
いくちゃんの無念さ、悔しさは言わなくてもわかっているよ、
おかあさんには。


8年間のオーストラリアを引き上げ、
1週間後に、郁代は両親の元に返ってきました。



郁代を妹のように可愛がってくださっていたという知人ジミーさんは、
後日、再発が分かった日の郁代の様子を、
次のようにメールで知らせてくださいました。

「一回目の手術のための帰国の際は、
あまり立ち入って聞くことはしないようにしたのですが、
帰豪後いくさんから詳しく聞いてびっくり。
再発の際は、いくさんが医者から転移を聞いて事務所に戻り、
呆然としていた時に、たまたま私が仕事のことで電話。
いくさんが突然電話口で泣き崩れてしまった」

                 (メール 2005年10月)