ありがとう
「遺書」
おとうさん おかあさんへ
わがままな娘でごめんね。
いつもつっけんどんでごめんね。
口が悪くてごめんね。
心配ばかりかけてごめんね。
親孝行できなくてごめんね。
孫の顔、見せられなくてごめんね。
おとうさん、おかあさんより先に死んじゃってごめんね。
三十四年間という、少し短めの人生だったけど、
おとうさん、おかあさんのおかげで、
楽しく、充実した人生でした。
子どものころから、のびのび自由に育ててくれて有り難う。
わたしを信頼し、やりたいことをやらせてくれて有り難う。
いつも心配してくれて有り難う。
生んでくれて有り難う。
おとうさん、おかあさんの子どもとして生まれて来られて、
わたしはとってもしあわせだったよ。
本当に有り難う。
郁代
あの日から、四年がたちました。
郁ちゃんにであえたことは奇跡でした。
このわたしが、郁ちゃんのおかあさんであることが、
不思議でなりません。
ありがとうございます。
見かけない白い蝶が、家の前を、
何周も何周も舞っていました。
郁ちゃんが、きてくれたんだね。